なべやかん遺産|「ブラックアダム」 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ブラックアダム」!

待ちに待った『ブラックアダム』公開!

汐留日テレロビーに映画『ブラックアダム』のポスターがずらーっと並べられていた!

DCユニバース最新作『ブラックアダム』が公開された。待ちに待った映画。これだけワクワクしながら映画公開を待ったのは『アイアンマン2』以来だ。ブラックアダムの話をする前に、アメリカのスーパーヒーローについて簡単な説明をした方が良いかもしれない。

というのは、DC映画とマーベル映画の区別が出来ない人が多いと思うからだ。「DCって?マーベルって?」という質問をよくされるのだが、わかりやすく言うと少年ジャンプと少年マガジンの違いみたいなものだと思ってほしい。

DCコミックスとマーベル・コミックスで掲載されているヒーローの違いという事である。

映画『ブラックアダム』はDC映画なので、アイアンマンやキャプテンアメリカは出て来ない。スーパーマン、ワンダーウーマン、バットマンがいる側の作品。

ブラックアダムというキャラは破壊神で、ロック様ことドウェイン・ジョンソンさん主演の最強アンチヒーローだ。

アメリカンプロレスだけでなくハリウッドの映画界でもトップに立つ大スターの新作。インスタフォロワー数は日本の人口の倍以上である3.5億フォロワー数。

ロック様がインスタにブラックアダムの事を投稿する事がどれだけ広告効果があるかがわかる。なので、その事も出演するにあたっての契約に入っているという話だ。一回投稿するだけでかなりのお金が貰える、さすがロック様!

ちなみに自分は4年前からプロレスラーとしてリングに立っているのだが、ロック様が好きなのでリングシューズはロック様風のふくらはぎが見えるロングブーツにしている。

映画公開前からロック様のインスタを見ていた人達は『ブラックアダム』公開をどれだけ待ち望んだ事だろう?

わがコレクションが展示!

ロック様のインスタには様々な情報が投稿されていて、撮影に行く為に家を出ようとすると電動で開く玄関の門が動かず車を出す事が出来ないため、力ずくで門を破壊し無事スタジオに付く事が出来たというエピソードもあった。まさに破壊神だ!

ブラックアダムというキャラクターは2019年に公開された『シャザム』の敵である。当初、『シャザム』の敵としてブラックアダムが登場する予定だったが、ロック様に「どちらを演じたいか?」と尋ねたところ「ブラックアダムをやりたい。

でも、どちらも別々に制作した方が良い」と答えたので『ブラックアダム』は単独映画になったようだ。

来年3月『シャザム!~神々の怒り~』が公開予定なので、今後のシャザムとブラックアダムの関わりが非常に楽しみであるが、個人的にはラストシーンに登場したSマークの男との闘いが観てみたい。闘いは、プロレスチックが良いな~。

『ブラックアダム』が公開された直後、DCユニバースの世界を体感できる「『ブラックアダム』公開記念“DC ユニバースの世界”展」が、汐留の日テレタワー2F 日テレホールで12月9日~18日まで開催された。

会場入り口にはDC関連グッズのショップがあり、展示用の等身大ヒーロー&ヒロインが並んでいた。会場内には等身大のブラックアダムがいて、その前には玉座がある。劇中でも玉座は印象的。その玉座に座っての記念撮影も撮れたのでインスタ映え間違いなしだ。

会場ではブラックアダムのキャラクターとビックリマンシリーズのデザイナーがコラボしたスペシャルステッカーが抽選で数量限定配布され、このステッカーはSNSでも話題になっていた。

もしかしたら将来付加価値が付くかもしれないのでビックリマンシールコレクターもジッとしてはいられなかったはず。

様々な展示物があり特典もあったのだが、今回のイベントで最大の目玉は、何といっても“ なべやかんコレクション”が展示されていた事だろう!

入口を入ったところからずらーっと並び、我がコレクションがお客様をお出迎えする。初出しのプロップ&衣装はDC映像作品で実際に使ったプロップの数々。自分のコレクションでありながら、こういった場所でショーケースに飾られているのを見ると「凄く良い!!!」と感動してしまう。

展示用と撮影用の違い

等身大のブラックアダム(ロック様)そして玉座。玉座に座ると偉くなった気分になれる。
スーパーマンとブラックアダムの対決を希望します。
『バットマン フォーエヴァー』バットマン等身大。バットカウルの下はヴァル・キルマー氏のライフマスクを使用。 

今回展示された我がコレクションを紹介しよう。入場ゲートをくぐると最初に置かれたのは、バットマン等身大。これは『バットマン フォーエヴァー』(1995)で後半に登場するバットスーツだ。この等身大モデルの良いところは、撮影用バットスーツと同じモールドから作られているという事だ。

今回のイベントでも多くのDCヒーロー&ヒロインの等身大モデルが置かれていたが、どれも展示用に作られたものなのでオリジナルとは別物。この部分がとても重要なのだ。バットマン等身大だが、当初ある程度の数を発売する予定だったが予定変更となり少数しか作られなかったらしい(購入当時聞いたのは約10体くらい)。バットカウル(バットマンのマスクの事)の中の顔はヴァル・キルマー氏である。

『バットマン リターンズ』バットマンのマント。高身長でないとマントを引きずってしまう。 

等身大のお隣に展示されたのは、マントである。このマントは『バットマン リターンズ』(1992)で劇中使用されたマントだ。

マントは革製だが品質の良い革で作られていないのと塗装が良くないので劣化が進んでいる(30年前の作品なので仕方がない)。

首元は金具が取り付けられていて、金具の上にバットマンのマークが取り付けられる。マント自体の重さもかなりあるし、革の厚みや長さや幅も広いのでこれを付けてアクションするのは至難の業なのでアクション用ではないと思われる。

そう考えると、撮影用プロップランクとしては上ランクのマントだと思われる。

使い捨てだったアイマスク

『バットマン リターンズ』で使用されたバットカウルと手袋。カウルはこれ以上、劣化しないでくれ~。手袋のトゲ部分は硬い素材。 
『バットマン フォーエヴァー』(1995)でリドラーを演じたジム・キャリー氏のライフマスクとリドラーのアイマスク。前列中央が同作品で使用されたコイン。前列右はゴッサムシティの紙幣。前列左は『ダークナイト』のコイン。後列右がザ・フラッシュの胸マーク。どれも迫力満点! 

大物の横にはショーケースが二つ置かれていた。最初のケースには、バットカウルと手袋が置かれた。バットカウルは『バットマン リターンズ』(1992)ティム・バートン監督による二作目のバットマンだ。

バットマン役はマイケル・キートン氏が続投。展示品は撮影用プロップのバットカウルでフォームラバー製。その為、経年劣化がかなり激しい。ティム・バートン監督が所有しているバットカウルも経年劣化が進んでいる。これがフォームラバーの宿命だから仕方がない。

バットカウル造形はホセ・フェルナンデス氏。ホセ氏の粘土彫刻は神レベル。だからこのバットカウルも美しいフォルムをしている。

ちなみにバットカウルが被せられている肩から上のマネキンも劇中で使われていた物と同じなので、ある意味正しいバットカウルの置き方である。こういった事も拘りの一つだ。

手袋は『バットマン リターンズ』(1992)で使用された手袋だ。手袋はバイク用を流用していると思われる。日本の等身大特撮ヒーローも同様でバイク用が使用される事が多い。ちなみにウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンAなどもバイク用手袋を使っている。

隣のケースには『バットマン フォーエヴァー』(1995)でリドラーを演じたジム・キャリー氏のライフマスクとリドラーのアイマスクが置かれている。撮影時は特殊メイクの要領で顔にアイマスクを張り付ける。そのため撮影時には大量のアイマスクが作られていたが、全て使い捨てだった。(勿体ない)

ライフマスクの前にはゴッサムシティのコインが並べられた。コインは『バットマン フォーエヴァー』(1995)でトミー・リー・ジョーンズ氏が演じたトゥーフェイスがコイントスをする時に使用した物で片面が傷だらけになっているのが特徴。大きいコインはアップ用に作られた物。

それとは別に『ダークナイト』(2008)でアーロン・エッカート氏が演じたトゥーフェイスがコイントスをする時に使用したコインもある。どちらの作品のコインも似ているが、良く見ると全くの別物。

コインの隣はゴッサムシティの紙幣。ティム・バートン監督作品で使用された紙幣は劇中でジョーカーが街中でばら撒いたり、色んなシーンで使われている。

ジム・キャリー氏のライフマスクの横はテレビドラマとして制作された『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』(1991)の胸のマークである。このマークは、当時撮影でザ・フラッシュのアクションをやっていた方から譲られた物だ。ロスに行った時、食事をした事がある。

今回展示したプロップはDC作品でどれも印象的なものだ。そして映像では良くわからなかった部分もあったので、こういった機会に見ていただくというのはとても良かったと思う。撮影用プロップにはフィギュアと違い説得力があるので、多くの人に撮影用プロップの魅力が伝わればと思った。

そして、その後に映像作品を観直してもらえると楽しみが倍増するかもしれない。

今回はこういった機会に巡り合えた事にとても感謝している。機会を与えてくれた杉山すぴ豊さん、日テレイベンツさん、ワーナーさん、ありがとうございました。

なべやかん

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