32歳で急逝したパルムドール受賞作ヒロイン、死因判明

チャールビ・ディーンさん(2022年、カンヌ映画祭)CC BY 3.0

 今年5月のカンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を受賞した映画『逆転のトライアングル』でヒロインを務め注目されたものの、今年8月に32歳の若さで急逝した女優、チャールビ・ディーンさんの死因が判明したと海外メディアが報じている。

 海外メディアにニューヨーク市検視局が明かしたところによると、死因は細菌性敗血症。犬や猫の口の中に存在する細菌カプノサイトファーガによるものとみられるという。ディーンさんはモデルとしてのデビュー前、出身地の南アフリカで交通事故に見舞われ大ケガを負っており、治療のため脾臓を摘出していた。脾臓は左上腹部にある重さ120gほどの臓器で、古くなった赤血球を破壊除去したり、血小板を蓄積するなどの血液循環に関係する役割を持っている。またリンパ球を多く持ち、免疫機能とも深い関わりがあると考えられていて、そのため脾臓がない場合には感染症にかかりやすく、重篤化する場合がある。

 対策として、脾臓がない人には様々なワクチンを接種しておくことが推奨される。肺炎球菌や髄膜炎菌、インフルエンザ桿菌のワクチンを受けておくことが特に望まれるが、これらのワクチンを接種しておけば万全ということではない。ワクチンのない細菌も当然あり、カプノサイトファーガもそのひとつである。彼女も医師からそのことは告げられているはずだが、不幸にも重篤化してしまったようだ。映画女優としての輝かしい未来が待っているはずだった彼女、心からご冥福をお祈りしたい。

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