米ロレアル 、製品の環境・社会インパクトをサイトに掲載へ

米ロレアルはこのほど、製品が環境・社会にもたらすインパクト(影響)を消費者向けにオンラインで明らかにする「プロダクト・インパクト・ラベリング・システム」の導入を発表した。原料調達から使用、廃棄にいたるまでのライフサイクルの各段階で、温室効果ガスの排出量、水の枯渇、海洋酸性化、生物多様性への影響など14 項目を測定しA〜Eの5段階でランク付けするほか、パッケージのリサイクルの可否、国連グローバル・コンパクトの労働原則に沿っているかといった情報を公開する。

「プロダクト・インパクト・ラベリング・システム」は2020年に仏ロレアルで導入が始まり、現在までに7ブランドのインパクトの開示が欧州22カ国で行われている。米国ではまずブランド「ガルニエ」に導入後、キールズ、ロレアル パリなどのブランドに段階的に展開する計画だ。

システムは、ロレアルが2030年に向けて掲げるサステナビリティの計画「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」の中核をなすもの。米ロレアル のCSO(最高サステナビリティ責任者)を務めるマリッサ・パグナニ・マガウワン氏は「米国で導入することは、消費者の行動変容を後押しし、美容業界のサステナビリティの向上を加速させることにもつながる。より多くの消費者にとってサステナビリティがますます重視されるようになっているタイミングでの導入。環境科学の原理に基づいた今回のシステムを導入することで、購入の意思決定に必要な情報を提供し、透明性をさらに高める文化が醸成されるだろう」と話す。

新たなシステムの導入に伴い、米ロレアルでは調査会社モーニング・コンサルトと連携して米国の消費者2000人に調査を行ったという。主な調査結果は以下の通りだ。

・米国の消費者の83%が製品の透明性を評価する傾向にある一方で、サステナビリティを理由に購入を決める際に必要な情報を得られていると感じている人はわずか47%。
・54%はサステナビリティに関連する情報を企業のウェブサイトで見たいと考えている。
・50%以上が人間による環境破壊を認識しており、43%が水不足、37%が大気汚染、35%がオゾン層の破壊に関心を持っている。
・米国の成人の60%近くは過去1年間に自らがよりサステナブルな暮らしをするようになったと考えている。

同社のリサーチ&イノベーションの責任者サンフォード・ブラウン氏は、調査結果について「消費者がサステナビリティに対し明確な期待を持っていることを示している。消費者の期待に応えるべく、評価の低い製品の環境負荷を低減するアクションプランを設定した」と語る。同社はバイオテクノロジーやグリーンケミストリーなど最先端の手法を用いて、2030年までにすべての製品の開発・生産・包装においてインパクトの削減につながる設計を取り入れる方針だ。

今回のシステム導入に用いた手法は環境科学とライフサイクル分析の世界基準に基づき、11人の国際的かつ独立した専門家・科学者と共同開発したもの。欧州委員会の製品環境パフォーマンスの勧告にも沿った内容となっている。さらに、独立監査機関ビューローベリタスが手法やデータの正確さを検証している。

ロレアルは今後、自社が掲げる2030年までの目標、欧州委員会が気候協定の一環として発足した「グリーン消費誓約」に沿って、透明性や持続可能な消費を促進するための取り組みを継続的に向上させていきたい考え。さらに、花王やユニリーバ、P&G、ケリングなど約60の化粧品ブランド・組織が参画し、化粧品の環境への影響を測定・評価するシステムの開発を目指す業界団体「エコビューティースコア・コンソーシアム」内で今回のシステムの導入から得た知見を共有するという。同コンソーシアムは2023年末に新たなシステムの試作品を開発することを目指しており、ロレアルは業界共通のシステム「エコビューティースコア」が利用できるようになれば、現在のシステムから共通のシステムに移行する方針だ。
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この記事の原文は www.sustainablebrands.com に掲載されています。

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