震災の教訓、等身大の言葉で継承 釜石の高校生を横浜に 2023年3月招待に向けクラウドファンディング始動

釜石の高校生とオンラインでつなぎ、交流への思いを述べる小林さん=22日、横浜市中区

 東日本大震災の教訓を等身大の言葉で伝えたい─。巨大津波に襲われた岩手県釜石市から高校生のグループを横浜に招くプロジェクトが動き出した。発案したのは、横浜の大学生ら。来年3月に一行を受け入れる費用を確保するため、クラウドファンディング(CF)を開始した。自分たちは被災の記憶が残る「最後の世代」。そんな思いを抱いて継承に取り組む高校生たちとの交流行事を企画し、若者の目線であの日の経験を共有する。

 プロジェクトの旗を振るのは、「釜石『夢団』横浜へトライ!応援実行委員会」。慶応大2年の小林美月さん(20)が実行委員長を務め、「正しい防災を『未災地』に届けたい。若者発の企画として成功させたい」と実現に奔走している。

 小林さんは昨年12月、公益財団法人よこはまユースが主催した横浜と釜石のオンライン交流イベントに中心メンバーとして携わり、伝承活動に取り組む高校生や被災地の人々とつながりを深めた。その後も交流を継続し、「高校生の言葉で震災の経験を直接伝える場をつくりたい」と横浜での交流を企画した。

 招くのは、岩手県立釜石高校の生徒有志らのグループ「夢団」。2020年1月に発足し、釜石鵜住居復興スタジアムでの語り部や動画による発信などに取り組んでいるが、これまでは基本的に地元で活動していた。楽しみながら防災を学べるゲームを考えるなど、次への備えにも力を入れている。

 夢団メンバーとの交流は来年3月4日に横浜市南区で、5日に同市金沢区で行う。防災をテーマとしたパネルディスカッションに参加するほか、横浜などの高校生とも交流する。

 小林さんは「横浜でも震災が起きるかもしれない。高校生の思いを同世代が受け止め、次につながる新たな動きが生まれるようにしたい」と協力を呼びかけている。

 CFは1月17日まで50万円を目標に実施。夢団メンバーの交通費などに充てるという。CFサイト「CAMPFIRE」の「『伝承』をつなぐ~釜石の若い芽『夢団』の思いをぜひ横浜に!そして未来へ。」で募っている。

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