売上高が初の1億割れ コロナ影響、来店者数も過去最低 とちまるショップ

とちまるショップの売上高と来店者数の推移

 東京スカイツリータウン「ソラマチ」(東京都墨田区)内にある本県のアンテナショップ「とちまるショップ」の2021年度の売上高は前年度比29.2%減の7600万円だったことが25日までに、県観光交流課のまとめで分かった。12年の開業以降初めて1億円を割り込んだ。来店者も3.8%減の94万人となり、過去最低となった。新型コロナウイルスの感染拡大で、国の緊急事態宣言に伴う営業時間短縮や休業などが影響した。

 販売面では、新型コロナ禍で企業などへの出張販売イベントが中止になったことなどが響いた。コロナ禍で4~9月は営業時間を短縮。さらに緊急事態宣言によるソラマチの休業で、4月25日~5月16日は店を閉じた。同課の担当者は「買い物を楽しむというムードが薄れ、年間を通して厳しい運営だった」と話す。

 一般財団法人地域活性化センターのまとめによると、自治体が都内に設けた独立店舗型のアンテナショップ59店舗の中で、来店者数は20年度までと同様にトップ3を維持した。「県産品を多くの人に見てもらい、PRできる場となっている」(担当者)。全国最多は唯一100万人に達した北海道の「北海道どさんこプラザ」だった。

 一方、売上高は「5千万円以上1億円未満」にとどまり、順位は31~40位に該当する。大型商業施設内にあり多くの人が立ち寄る反面、銀座などに立地する他県の路面店のように「目的地」とはなっておらず、購買率が低いことが開業以来の課題となっている。

 店舗へ誘導する仕掛けとして、7月には店頭に大型のデジタルサイネージ(電子看板)を導入した。今後、運営事業者の「ファーマーズ・フォレスト」(宇都宮市)と顧客ニーズに合った商品開発を検討し、市町などと連携したPRイベントも展開していくという。

 22年度は首都圏の駅や公共施設、企業での催事が再開したことなどにより、売上高と来店者数はいずれも回復傾向にあるという。同課は「交流サイト(SNS)など、さまざまな方法で栃木の魅力を発信し、存在感を高めたい」としている。

© 株式会社下野新聞社