食品の「値上げ」ペースが加速 2023年は1.53倍に

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2023年も食品の値上げが続く見通しだ。帝国データバンク(東京都新宿区)の調べによると、2万822品目(平均値上げ率14%)という記録的な値上げラッシュとなった2022年に引き続き、2023年も1-4月の間に7152品目の値上げが計画されているという。

2022年の1-4月が4672品目だったため、件数は1.53倍となる。さらに7000品目に達した時期が2022年は4月中旬だったのに対し、2023年は2022年12月時点で到達しており、値上げのペースが加速していることが分かる。

ただ、日銀による実質的な利上げにより為替相場は円高に向かっており、値上げの要因となった原材料価格やエネルギー価格の高騰に歯止めがかかる可能性がある。今後の円相場次第では、値上げの流れに変化が現れるかも知れない。

値上げ率は18%

2023年の平均の値上げ率は18%で、2022年よりも4ポイント高い。40%以上の大幅な値上げとなる商品が少なくなく、平均値を押し上げた。

値上げで最も多いのは、冷凍食品や、小麦製品、水産缶詰などの加工食品で、全体の53%に達する3798品目となった。次いで多いのが輸入ウイスキーやワイン、焼酎などの酒類、飲料の1442品目、醤油やドレッシング、ソース、ケチャップなど調味料の1343品目だった。

菓子の値上げは480品目で、本体価格の引き上げではなく内容量減による価格維持という実質値上げの傾向が現れたという。

帝国データバンクでは食品値上げに伴う標準的な1世帯当たりの家計負担額は、1カ月当たり5730円、年間で6万8760円と試算しており、年間の消費支出額(平均約333万円)の約2%を食品値上げが占めたとしている。

同社では輸入食材価格の上昇が続き、原材料や包装資材、物流費などのコスト上昇圧力は解消に至っていないとしたうえで「現状価格では採算が合わないとして価格設定を適宜見直すケースは今後も発生するとみられ、2023年以降も断続的に値上げが続く可能性が高い」と分析している。

文:M&A Online編集部

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