遠客再来

 選手交代をもじって「変種交代」。住友生命保険が募集した、この1年を言い表す創作四字熟語の上位作には、またも新型コロナにまつわるいくつかの作品が並んだ。ウイルスは変異株に置き換わり、第6波、第7波と切れ目がない▲おととしの最優秀作は「医師奮診(いしふんしん)」(獅子奮迅)で、医療に関わる人々に感謝を表した一作という。昨年は「菌」をあえて「ころな」と読んだ「七菌八起(ななころなやおき)」(七転八起)が最優秀作で、第7波が来ても起き上がろう、と誓っている▲どちらもコロナ禍での奮起を表現した。今年の最優秀作は、千客万来を言い換えて「遠客再来(えんきゃくさいらい)」。水際対策が緩められ、海外から旅行客が再び訪れている▲その動きを4文字にした。作品の審査員で歌人の俵万智さんはこう評している。〈コロナ禍の影は拭いきれませんでしたが…少し明るい兆しが感じられました。それが創作四字熟語にも反映していて、ほっとさせられます〉▲国際クルーズ船が消えた県内の港も、停滞から前進へと変化の動きがある。長崎港では来年3月から大型客船を再び受け入れるよう準備を進めるという。3年にわたる空白期間が終わる日が待ち遠しい▲今年の上位作をもう一つ。規制緩和からの連想で「帰省歓輪(きせいかんわ)」。一時は白い目で見られた帰省は喜びの輪を生むだろうか。(徹)


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