人気誇る直売所、後継者難が課題... 過疎、高齢で組合員半減 小山

午前中にほとんど商品がなくなる絹ふれあいの郷。組合が運営して17年目になる

 【小山】地元農業者らによる組合が運営する梁の市農産物直売所「絹ふれあいの郷」で、後継者難が課題となっている。16年前の開設から組合員の顔ぶれが変わらず、過疎、高齢化で人数は半減。一方、他の直売所より安くて新鮮な野菜や総菜が人気を誇り、地域活性化の拠点として組合員の意欲も高い。来年度から3年間の運営を引き続き担うことが今月の定例市議会で決まり、今後も元気に活動できるよう、関係者の模索が続く。

 午前9時。開店とともに客が車で続々と訪れ、泥付きネギや特産のヤマトイモなどを買い求めていく。弁当は500円でお釣りがくる安さ。陳列棚の商品は午前中でほぼなくなった。

 地場産業の結城紬(つむぎ)や養蚕の衰退で過疎化する絹地区を活性化しようと、2006年に「絹ふれあいの郷交流推進組合」が発足した。市が設けた施設に農産物や手作り総菜を持ち寄り、輪番で店番を担当。新米などの時季に合わせたイベントも年に何度も行ってきた。

 近隣の学校給食に野菜を卸し、入院患者へのおいしい食事の提供を掲げる新市民病院に米を納めるなど、施設外での収益確保にも取り組む。売り上げは開設以来、コンスタントに年4千万~5千万円ある。

 発足当時から組合長を務める曽雌康一(そしこういち)さん(75)は「ここに来ればいろんな人と話ができて情報も入る。野菜を作る励みになる」。副組合長の瀬出井利男(せでいとしお)さん(74)も「楽しい」と笑う。意欲は開設当初と変わらない。

 ただ、過疎化に歯止めはかからず、組合の新規参入者はほぼゼロ。発足時に50人超いた組合員は26人に減り、大半が70代だ。家族に車の運転を止められ、退会した仲間もいた。

 イベントで勧誘チラシを配るなどしたが、効果は出ていない。指定管理期間が満了する26年3月の3カ月後には開設20周年を迎える。市も「今後3年の間に解決の糸口を組合員らと見いだしたい」としている。

午前中にほとんど商品がなくなる絹ふれあいの郷。組合が運営して17年目になる

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