秋葉復興相更迭 「秋の山寺」陥落で政権基盤は弱体化 人事後手、内閣に募る不信

国会

 脱税問題を追及されていた秋葉賢也復興相が27日、山際大志郎前経済再生担当相(衆院神奈川18区)、寺田稔前総務相に続き更迭となった。「秋の山寺」と評された「疑惑の3閣僚」(立憲民主党幹部)の陥落は、内閣改造からわずか4カ月の出来事。安全保障関連3文書の見直しに絡む防衛増税の方針決定、原子力発電活用へかじを切るなど大きな転換を打ち出す岸田文雄首相だが、政策実現の下地となる人事などで後手に回り政権基盤は弱体化の様相だ。

 「舞い落ちて 秋の山寺 岸辺の葉」。秋葉氏の前には、失言で葉梨康弘前法相が更迭されている。自民党の閣僚経験者は岸田首相と辞めた4大臣の名を織り込み、支持率低下の一途をたどる内閣の危機を詠んだ。心配なのは「一連の騒動への対応のまずさもあって、与党などに内閣への不信が募っていること」という。

 自民重鎮によると、岸田首相は当初、年明けに小幅の内閣改造を行い更迭色を薄める考えだったとされる。一方で当初検討していた1月第2週の米国訪問が米側の都合で翌週にずれ込む見通しとなると、第2週に英国など欧州3カ国の訪問を組み込むよう指示。第4週の開会が見込まれる通常国会までの日程は「ぎゅうぎゅう詰め」(首相官邸スタッフ)となっており、もともと「組閣などを行うすき間がない状態」(同)に陥っていた。

 永田町や霞が関は、クリスマスムードともほど遠かった。内閣官房では組閣など人事のシミュレーション、外務省では外遊日程の調整に職員がコンビニおにぎりを片手に追われた。年の瀬の人事決着に、外務省の関係者は「葉梨氏の更迭に時間をとられ、平身低頭で首脳会談などをキャンセルしたASEAN(=東南アジア諸国連合)の悲劇の再来は避けられた」(関係者)と安堵(あんど)した。

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