【決定版!】十日恵比須、初庚申…年末年始を神社で過ごす、「ご来福」のすすめ

1年の締めくくり、そして年のはじめに神様へお参りする方も多いと思います。今回は、編集部が福岡の年末年始を「神社」軸でご紹介します。皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。

この1年も、ありがとうございました!

この1年も、フクリパをご愛読いただきましてありがとうございました。そして「いや、初めて読んだけど?」という方、はじめまして、福岡の今と未来を紡ぐ、「フクリパ」編集部です。以後、どうぞお見知りおきを!

さて、この1年、皆さんはどんな風に過ごされましたでしょうか。
色んなことがあったと思います。
日本人は大晦日に除夜の鐘を聞き、元旦を迎えた瞬間に神社に初詣でに行くという風習がありますが、福岡ではさらに、「ここに行かないとお正月が来ない」「これを過ぎたらお正月が終わった気がする」と言われる文化があります。
今回は、そんな文化をご紹介したいと思います。

文化をご紹介する前に。「ご来福」のすすめ

本編に入る前に、福岡の一部ビジネスマンが使う縁起のいいフレーズをご紹介したいと思います。

県外の方とやりとりした際に、
「もし福岡にいらっしゃることがあれば、ぜひご連絡くださいね(美味しいものでも食べましょう、もちろんご案内しますよ)。」
という勝手に「福岡に来るといいよ」アピールをすることがあります。

そんなとき、
「ご来福の機会があれば、ぜひご連絡ください。」
と言う方が多数いらっしゃいます。

そう、福岡に来るということは「福が来る」というダブルミーニングになるんですね。
「ご来福」、ぜひ福岡の皆さんもお使いください。
そして県外の皆さま、もし福岡の人にこう言われたら、決して社交辞令ではなく、本当に「いらっしゃい」という意味ですので、ぜひ調子に乗って来年は福岡に遊びに来てみてください。「ご来福」しちゃってください。
そしてその際は、この「フクリパ」を熟読くださいね。

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◆福岡・博多の正月は「十日恵比須」まで(1月8日~11日)

「ご来福」エピソードをご紹介したところで、いよいよ本編に参りましょう。
仕事始めは4日や5日のところが一般的だと思いますが、福岡は博多では、特に博多商人にとっては「十日恵比須」を終えないとお正月が終わった気分になりません。

福岡の飲食店に入ると、このような笹や飾り物を祀っている光景を見かけることと思います。

これ、実は「十日恵比須神社」という神社の「正月大祭」にお参りに行った証なんですね。

●十日恵比須の正月大祭とは

福岡市博多区は東公園に1592年1月10日に創建された、「十日恵比須神社」。「だいこくさま」こと大國主大神(おおくにぬしのおおかみ)、「えびすさま」こと事代主大神(ことしろぬしのおおかみ)が御祭神。創建の前年、東区にある香椎宮の社家・武内平十郎(のちの五右衛門)が香椎宮と筥崎宮を参拝した帰り道、海辺で恵比須神の御尊像を拾い、翌年この恵比須神を祀って十日恵比須神社が創建されたと言われています。
さらには出雲大社からの御分霊として、だいこくさまもお祀りしており、長く博多の人に親しまれてきました。
来年はうさぎ年なので、だいこくさま、こと大國主命(おおくにぬしのみこと)と因幡の白兎のお話にちなむという意味でも、十日恵比須へのお参りはより一層縁起をかつげそうです。

こうして、商売繁昌とご縁結びの神様として、博多の商売人は必ず足を運ぶ「正月大祭」が毎年恒例となっています。

新型コロナウイルスの関係で、行事が一部省略されたりもしていますが、今回は例年通りの内容をお伝えしたいと思います。

お正月が明けたと同時に、西鉄バスの停留所の広告など、街中に「十日恵比須」「正月大祭」の文字を見かけるようになります。

写真提供:福岡市

今年1年間の商売繁昌、家内安全、交通安全、漁業繁栄などを願う人々でにぎわいます。古くなった福笹や縁起物、前年にいただいた年中祈願の祈願章などをお返しし、そして新たに福引や御祈願をします。福引きやその他の催しものも日ごとに行われるほか、この期間は神社の隣の東公園に300軒以上の露店が並びます。お参りとともに露店を楽しんで帰る、そうしてやっと、博多の商売人のお正月が明け、通常運転になるんですね。

写真提供:福岡市

なお、創建日にちなんでおり、曜日ではなく日付で祭事が執り行われます。

主な祭事は以下の通りです。
(状況によって変更がある可能性がありますので、おでかけの際は必ず十日恵比須神社のSNSアカウントやホームページをご確認ください)

●日程は、毎年1月8日から11日

日ごとに
1月8日:初えびす
1月9日:宵えびす
1月10日:正大祭
1月11日:残りえびす
と名前がついています。

祭事は色々あるのですが、特に知っておくとよいものをご紹介します。

●福引(初穂料:3,000円/1回)

写真提供:福岡市

4日間共通で行われている「福引」は、この正月大祭の見どころのひとつです。福引券授与所で恵比須様の札を入手したら、福引所で福引をしましょう。運がいい場合は「大当たり~!」と大きな声で言ってもらえ、特別な授与品をお分けいただけます。

しかし、大当たりでなくても十分に縁起の良いものをいただけますので、ぜひ神棚や毎日目につくところに飾ってくださいね。

●年中祈願(初穂料:3,000円/1回)

本殿での御祈願の上、祈願章をいただけます。申込書は本殿に納められ、毎朝祈願してもらえます。3,000円の初穂料で毎日祈願してもらえるなんて、博多の神様はなんて太っ腹なんでしょう!

●縁起物授与

福引でいただける縁起物などは、社務所でもお分けいただけます。大きな鯛や熊手、打ち出の小づちなど、オフィスやご自宅、お店に飾っている光景がとても多いのが博多の特徴です。

なお、祭事の行われる場所やその経路、縁起物、混み具合などの最新情報は、十日恵比須神社のホームページ、SNSアカウントにて随時更新されますので、ご参拝の際は、必ず最新情報をチェックしておでかけください。

●かち詣り

宵えびす(1月9日)の午後3時に行われる博多券番のきれいどころの芸妓たちによる「かち詣り(まいり)」はとても華やかです。

島田まげに稲穂のかんざし、紋付正装というあでやかな着物姿で、三味、笛、太鼓の音が鳴り響く中、徒歩で参拝し祈願をする姿が参拝者の注目を集めますので、タイミングが合う人はぜひ。

次ページ▶▶早朝から大行列が風物詩。猿田彦神社の「初庚申(はつこうしん)」(2023年は1月2日開催)

◆早朝から大行列が風物詩。猿田彦神社の「初庚申(はつこうしん)」(2023年は1月2日開催)

そして令和5年はもうひとつ、お正月のタイミングで行われる「初庚申」をご紹介します。

福岡市内を歩いていると、軒先にお猿さんのお面を飾っている家がよく見られます。

この「猿面」は、福岡市早良区藤崎にある「猿田彦神社」の「庚申祭(こうしんさい)」の際にお分けいただけるもの。「魔が“去る”」ということで、猿が外から入ってこようとする魔ににらみをきかせているため、1年間安心して過ごすことができるとされているものです。

●猿田彦神社の「初庚申」とは、新年の初の庚申日のお祭り

初庚申(はつこうしん)とは、新年最初の庚申の日であり、この日は特に御利益を求めて沢山の人が参詣します。猿田彦神社は、天照大御神の命により天孫降臨したニニギノミコトを道案内した猿田彦大神が御祭神。もともとは唐津街道の出入り口を守ってくれる「道祖神」として伝えられてきたものですが、「猿」の字を冠する神様ということから、「庚申信仰」と結びついたとされています。

庚申信仰とは、60日ごとの庚申(かのえさる)の日に祭りを行い、猿にちなみ「災難が去る」「幸福が訪れる」とされるもの。ここ猿田彦神社でも、「初庚申」「二番庚申」と続き、「終庚申」まで年間複数回庚申祭が執り行われ、令和5年は7回庚申祭が執り行われます。

●庚申祭の日程(令和5年の初庚申は、1月2日の7:00~18:00)

2023年は以下の通りです。

初庚申 1月2日(月) 7:00〜18:00
二番庚申 3月3日(金) 7:00〜18:00
三番庚申 5月2日(火) 8:30〜17:00
四番庚申 7月1日(土) 8:30〜17:00
五番庚申 8月30日(水) 8:30〜17:00
六番庚申 10月29日(日) 8:30〜17:00
終庚申 12月28日(木) 8:30〜17:00

●主な授与品(猿面:1,000円、神面:3,000円、福笹500円)

猿面(初穂料:1,000円)は、博多人形の職人が一つひとつ手作りしているもの。個体差があり、少しずつ表情が違うのもまた愛嬌があります。なお、「神面」という猿田彦の顔をかたどった面もあり、こちらは初穂料3,000円です。

写真は編集部が過去にいただいた猿面と御朱印と、境内で販売されている猿飴です

また、布猿のついた福笹(500円)は初庚申、二番庚申のみ受けることができます。神棚に飾りましょう。

次ページ▶▶地域の神社ごとのお祭りを大切に

地域の神社ごとのお祭りを大切に

今回は、来年を良い年にしていただきたく、「これが終わらないとお正月が終わらない!」という祭事を2つご紹介しました。

ただ、北部九州独特の風習である初詣での「三社詣り」や、新年を迎える準備とともに幸先良い年をと祈る分散参拝の「幸先詣」など、福岡は地域ごとの神社での風習も多々存在します。

そこで最後に、今年誕生した「福岡県神社庁」の「神社検索」機能をご紹介します。
福岡県神社庁とは、県内の神社を取りまとめている組織。

サイト内では、自分の住んでいるエリアをクリックすると、そのエリアで有人の神社一覧がGoogle MAPにピン打ちされて表示されます。

自分の家の近くにある神社のことを知りたい際にぜひ調べてみてください。
また、MAPの下にはそのエリアの神社一覧も載っています。公式サイトがある神社はリンクも載っていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

福岡は、県民の認識はそこまで高くありませんが、実は全国的にも神社の多い県なんです。ぜひこの年末年始のタイミングで、新しい神様探しをして、良い年をお迎えください。

サイト情報まとめ

●十日恵比須神社公式サイト
https://www.tooka-ebisu.or.jp/

●猿田彦神社公式サイト
http://sarutahiko-fukuoka.jp/

●福岡県神社庁公式サイト
https://fukuoka-jinjacho.or.jp/

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