22年秋の新作ドライバーのトレンドは? マトリックス図で比較

2022年秋の8社17モデル1Wのヘッド性能をマトリックス図化

2022年秋の新作ドライバーが出そろった。今回はピン「G430 シリーズ」や、国内女子ツアーで4週連続優勝を達成した住友ゴム工業の「スリクソン ZX Mk II シリーズ」など、8社17本のヘッド性能を調査。レッスンスクール「ゴルフテック」三田貴史コーチが作成したマトリックス図とともに傾向を解説する。(※可変ウェイトモデルはニュートラルの状態に設定)

今秋のトレンドは“高初速で飛距離アップ”

縦軸は「バックスピン量」で、上に行くほどスピン量が多くなり、下に行くほど少なくなる。横軸は「球のつかまり」で、左に行くほどつかまりが良く、右に行くほど抑えられた性能となる。比較の参考として、2月に発売されたテーラーメイド「ステルス ドライバー」、キャロウェイ「ローグST MAX ドライバー」を加えた。

2022年秋ドライバーはつかまりがニュートラルな機種が多いことが分かる

多くのモデルが横軸「つかまりやすさ」の中央付近に集中している。今秋の傾向について三田コーチは「各メーカー、各モデルに特徴はありますが、高い慣性モーメント(以下MOI)や高弾道・低スピン化、というのは落ち着いてきた印象です。一つの要素に特化してしまうと他の要素が犠牲になり、対象となるユーザーが絞られてしまいます。そのため、基本設計の大きな変更というよりは、フェース周りの設計を変更し広範囲で初速が出せるようになっています」と分析する。ニュートラルな重心設計と高い初速性能により、扱いやすさと飛距離性能を追求したモデルが増えているようだ。

国産メーカーと海外メーカーのマトリックス図が似ていることも特徴として挙げられる。これまでは、国内モデルは左上の「バックスピン量が多く、つかまりやすい」位置、海外モデルは右下の「バックスピン量が少なく、つかまりすぎない」位置にそれぞれ配置されることが多かった。しかし、この秋はテーラーメイドの「ステルス グローレ ドライバー」やキャロウェイの「グレート ビッグバーサ ドライバー」など、高弾道でつかまりが良いモデルを発売する海外メーカーが多く見受けられた。

国産メーカーは幅広いユーザーを意識

改めて住友ゴム工業、ブリヂストン、プロギア、ヤマハの国産メーカー4社9本のヘッド性能をまとめた。

国産メーカー4社9本のヘッド性能を比較

ダンロップ「スリクソン ZX Mk II」シリーズとプロギア「RS JUST」シリーズは、それぞれ3モデル展開で幅広いゴルファーに対応できるラインアップ。特に、「RS JUST」シリーズは、「『RS D』『RS』『RS F』の3モデルがありますが、各モデルの特徴をより濃く弾道に表すために、それぞれの標準シャフトもヘッド性質に合わせる形で設計を変更しています。クラブ全体でよく考えられている」と三田コーチ。シリーズ内の性能差がより明確になっているため、自分のスイング特性に合わせて最適なドライバーを選択したい。

海外メーカーは素材と構造の進化で安定性向上

続いてテーラーメイド、キャロウェイ、ピン、アクシネットの海外メーカー4社8本のヘッド性能をまとめた。比較の参考として、テーラーメイド「ステルス ドライバー」、キャロウェイ「ローグST MAX ドライバー」を加えている。

海外メーカー4社8本のヘッド性能を比較

海外メーカーでは、2種類の軽量カーボンを使用して余剰重量を最適配分した「グレート ビッグバーサ ドライバー」や、スイング中の空気抵抗を減らす形状を採用したタイトリスト「TSR」シリーズなど、最新技術が多く登場した。三田コーチは、ピン「G430」シリーズ1Wの中で唯一カーボンクラウンを搭載した「G430 LST ドライバー」に注目。

「2006年の『ラプチャー ドライバー』で採用後、長年封印していたカーボンクラウンが『G430 LST』に搭載されました。ピンのドライバーは安定性が代名詞となっていますが、『LST』は全体のバランスが非常に良いモデルだと思います。低重心化によりスピン量が減り、飛距離性能が高くなりました」

最適なモデルを見つけるには?

今回の17モデルはニュートラルな重心設計でいずれも初速性能に優れており、飛距離性能も高いという。三田コーチは「まずご自身の適正な打ち出し角とスピン量を基準として把握しておくこと。その上で弾道や見た目、打感など、どの項目を重視するのかを明確にすることで、自分に合ったドライバーに出会う確率を高められると思います」と指南した。今回のマトリックス図などを参考にして、自分のスイングに合ったドライバーを見つけてほしい。

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