熟成された先進のドイツ車クオリティ アウディ「A8 L」

アウディのフラッグシップセダンである「A8」。そのロングホイールベース版である「A8 L 60 TFSIクワトロ」を試乗することができた。2018年に登場した4代目となる現行モデルのアウディA8は、2022年4月のマイナーチェンジで後期型へと進化している。このクルマを一言で表すとしたら「正統なドイツ車」ということに尽きるだろう。技術的に時代の最先端を行くモデルだ。

アウディA8は'90年代にデビューした初代から世の中をあっと言わせるフルアルミニウム製のボディや、ASF(アウディスペースフレーム)などの最新の技術が盛り込まれていた。今日のプレミアムカーのボディは、スティール以外にアルミやカーボンといった様々な部材を複合して使用することが多いが、A8はその先駆けともなった一台だ。

実際に試乗してみると、今回のマイナーチェンジの核心はドライバビリティにあると感じた。前期型のA8 Lは乗り心地がフワフワとしており、ステアリングの中立付近の反応も緩く感じられた。また、ロングホイールベースによって贅沢なリアシート空間を確保したモデルなので、運転手付きで乗るクルマという印象だった。

エアサスペンションを装備した現代のプレミアムカーの場合、走行状態に応じて足回りの硬さを変更できるモデルは珍しくない。実際の走行状態を検知した後でセッティングが変化するパッシブなものであることが一般的だ。新しくオプション装備された「プレディクティブアクティブサスペンション」は、前方の路面状況をカメラや超音波センサーによってスキャンし、4輪のサスペンションに配備された電動モーターによって瞬時に車高を制御。凹凸を乗り越えるようなシチュエーションでも、常にフラットな走行姿勢と快適な乗り心地を実現するシステムを選択できるようになった。

コンフォートモードでもサスペンションのフワフワ感がなく、街中でも高速道路でも微細な振動は減少し、ピタッと路面に吸い付くような落ち着きが感じられた。標準装備されているアクティブエアサスペンションのみならず、全体がリファインされた成果なのだと思う。ステアリングも全長5320mmにもなるフルサイズセダンとしてはスポーティで引き締まっており、ドライブ好きの個人オーナーが自分でステアリングを握っても十分に楽しめる一台という印象だ。

今回のマイナーチェンジでは、フロントマスクを中心として、エクステリアにお化粧直しが施された。シングルフレームグリルの形状や、クロームの使い方も変わっているし、左右のヘッドランプ下のインテークも存在感を増している。

パワーユニットは460psを発揮する4.0リッター・V8ツインターボで、駆動はAWD。昨今、ミドルサイズ以上のセダンやSUVではAWDが当たり前になりつつあるが、当然のように48Vのマイルドハイブリッドシステムが組み合わされていることも、アウディの先進性の現れであり、時流に乗っているといえるだろう。

後期型のA8 Lは、同社のスローガンである「技術による先進」を地で行くモデルへと熟成されていた。ライバルのメルセデス・ベンツ「Sクラス」は代替りするごとに色気を増している印象だが、対するアウディA8の見た目はオーソドックスかつフォーマルで一貫している。ドイツ車らしいクオリティを重視する人にとって最適な一台だと思う。

アウディ A8 L 60TFSI クワトロ 車両本体価格: 1800万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5320 X 全幅 1945 X 全高 1485 mm
  • ホイールベース | 3130 mm
  • 車両重量 | 2160 kg
  • エンジン | V8気筒 ツインターボ
  • 排気量 | 3996 cc
  • 変速機 | 8速 AT(ティプトロニック)
  • 最高出力 | 460 ps(398 kW) / 5500 rpm
  • 最大トルク | 660 N・m / 1800 - 4500 rpm

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Text : Takuo Yoshida

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