薬膳料理とやさしい空間 薬膳・発酵・日本酒をテーマにした「マルクマ」がオープン

「薬膳・発酵・日本酒」をテーマにしたお店「マルクマ」が、室蘭市に2022年12月12日オープンしました。古い飲食店をDIYでリノベーションした店内は、温かみのあるダウンライトが心地よい空間です。

きっかけは石垣島でのアルバイト

店主の福島嘉菜恵さんは、学生時代に接客業に関わって以来、その楽しさ・奥深さにのめり込んだのだとか。運命を決定づけたのは、リゾートバイトで訪れた石垣島で出会った名店「うさぎや」。福島さんがうさぎやで働いている時に、ある母娘の旅行客が来店しました。

よくよく聞けば、お母さんは難病を抱え余命1カ月を告げられており、娘さんが思い出作りにと計画した旅行だったのだそうです。大変な境遇にも関わらず母子で笑いあって食事をし、楽しそうにお店を後にした二人を見た福島さんは、人生における「食べる時間」の大切さに衝撃を受けます。

そして「ただ料理を出すだけではなく、一人ひとりのお客さんと料理やお酒を通じてつながりたい」という想いが生まれました。

さらに経験を積み、自分のお店をオープン!

石垣島での生活は当初2カ月のはずが気づけば2年。その後故郷室蘭に戻り、2022年3月まで室蘭やきとりの人気店「伊勢広」で5年間店長を務めました。

「うさぎや」で感じた思いを「伊勢広」で実践しながら、薬膳の勉強にも打ち込み資格を取得した福島さん。長女の小学校入学を機に伊勢広を退職し、今の前身となる「薬膳ごはんiroha」を開業、その後「マルクマ」として薬膳粥のポップアップストアの営業を開始します。

商業施設や飲食店の間借り営業・各地のイベント出店で経験を積み、30~40代の女性を中心に着実にファンを増やしていきました。

その頃からの常連さんは、「料理のおいしさや薬膳の魅力はもちろんあるけど、(福島さんの)人柄と笑顔が一番の魅力」「いい意味でひとたらし力が高い、いい意味で」「いつも頑張ってるからこっちも頑張らなきゃ!と思う」と、がっちりハートを掴まれています。

そして12/12(月)、ついに念願のマルクマ実店舗がオープン!

電気やトイレも設置も含めご友人が連日手伝ってくれたそうで、「本当に周りの人の助けがないと生きていけないです。」と申し訳なさそうに話しますが、きっとお友達はただ純粋に福島さんと一緒にお店を作りたかったんでしょう。

気になるお料理をチェック!

さて、マルクマのお料理は薬膳がベースとなっています。とはいえ苦い漢方薬をまぶしたり練りこんだりしているわけではありません。基本的な考え方は、四季折々の元気な食材の力を借りて、体を内側から整えていくということ。

だからこそ食材はじっくりと吟味し、納得できるものだけを選び抜き、調理においても食品添加物は一切不使用。

料理は仕入れた食材に合わせて作る日替わりメニュー。カウンターに並べられたおばんざいのお皿から選んで注文すると小皿に取り分けてくれます。このやりとりがなんともアットホーム。

取材日の献立は、特選じゃがいものフライドポテト・揚げ納豆・カルパッチョ・ながいもの塩麹和えなど、色どり豊かなラインナップ。厳選食材を使いながらも、各300~500円程度とお財布にも優しい価格帯です。

お酒に合う日本酒は、市内の老舗酒店「宮本商店」のセレクト。全国各地の酒蔵から仕入れる銘酒も豊富。むむむ、飲みすぎ注意…。

もちろんシメは、これだけ食べに来る人もいる名物「季節の薬膳粥(600円)」で、明日の自分にエールを送りましょう。豊かな出汁の旨味と食材のパワーが、一口ごとに五臓六腑へ染み渡っていくはずです。

人のつながりが明日の元気に!

福島さんに今後の目標を聞いてみました。

「まずはこのお店をきちんと続けていけるよう足元を固め、年明けにはお昼の営業も始める予定です。2年目には室蘭や近隣の食材を使って薬膳の知識を生かした防災食作りに挑戦!あと、発酵についてももっと勉強して、資格もとって、3年目には発酵食品で商品を作ってみようと思っています。」

そして、「このお店の主役は来てくれたお客さん。たまたま隣り合ったお客さん同士がお料理とお酒でつながり、一日の最後に『今日も楽しかった!』と思ってもらえる場所になりたいです。」とも。

勉強熱心な福島さんは、今年度の北海道フード塾にも参加しています。食に関わる全道の仲間とつながることができたことが、大きな支えになっているそうです。

2023年春を目途に、フード塾同期メンバーとの会話から生まれたネオお赤飯「セレブライス」を商品化し、それぞれのメンバーの元での販売を始める予定。

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SPOT「 マルクマ 」

■所在地:北海道室蘭市中島町1-16-1
■営業時間:18:00~22:00
「マルクマ」の詳細をDomingoで見る

ライタープロフィール

編集ライター 佐藤 大輔

旅行会社→世界一周→旅行雑誌社を経て故郷室蘭にUターン。室蘭市初の地域おこし協力隊としてまちの観光PRやアウトドアイベントの運営に携わり、現在はBROCKEN(ブロッケン)の屋号で、各地のクリエイターと協働し雑誌やWebの企画編集やロゴデザイン・映像制作など広く請け負う。

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