82歳のおばあちゃんが特殊詐欺犯を撃退 「おかしい...」確信して 宇都宮

 82歳のおばあちゃんが若い特殊詐欺犯を撃退した。

 「保険金の還付がある」。宇都宮市の主婦(82)宅に電話があったのは9月下旬の昼。相手は市職員を名乗る男だった。

 主婦は少し前、夫が税金の還付手続きをした記憶があった。家族は不在で、銀行名を伝えてしまった。

 今度は銀行員をかたる男から着信。「口座のキャッシュカードにエラーが出ている。職員を向かわせる」

 約20分後、若い男が訪ねてきた。白のワイシャツに黒のズボン姿。外見は銀行員に見えたが、名刺を出さないことに違和感を抱いた。キャッシュカードを手渡すと再び「カードにエラーが出ている」と言われた。

 「おかしい…」。実はそのカードは紛失して再発行したばかりだった。「新しいのにエラーが出るかしら」。胸の鼓動が早まった。

 反射的だった。「返してください」。男の手元からカードを奪い返していた。

 それでも男はカードを回収すべく封筒に入れるよう求めた。確信した。以前ラジオで聞いた特殊詐欺の手口だ。手を出してきたら急所を蹴ってやる-。そう心に決めて言い放った。「自分で銀行に行きますから」。男は諦めて立ち去った。 

 2カ月後、宇都宮中央署に逮捕されたのは16歳の男子高校生だった。署幹部は「勇気ある行動で素晴らしい」と感心する。一方で「犯人が危害を加える可能性もある。同様の被害を受けた際は一刻も早く通報を」と呼びかけている。

栃木県警察本部

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