江戸中期の本殿を美しく修復 みなべの須賀神社

保存修理事業で美しくなった須賀神社の本殿(和歌山県みなべ町西本庄で)

 和歌山県みなべ町西本庄、須賀神社が進めていた、県指定文化財になっている本殿の檜皮葺(ひわだぶき)屋根のふき替えや塗装、彩色などの修復作業が完了した。年明け以降に火災報知設備を付ける工事があり、来年3月ごろには、竣工(しゅんこう)奉祝祭を予定しているという。

 須賀神社は、平安中期の一条天皇(980~1011)の時代、京都の八坂神社から祇園の宮を勧請したとされる。現在の本殿は3殿あり、江戸中期に建立された。塗装、彩色、彫刻、金具で飾られた優美な外観。

 近年では、1987年に檜皮葺屋根のふき替え修理が行われ、外観の塗装や彩色は06年に塗り替え、描き直し、68年ごろに部分修理をしていたという。

 今回の保存修理事業(計画期間2021年4月~23年2月)では専門業者が工事を手がけ、檜皮葺のふき替え、塗装の塗り替えや彩色の補彩、飾り金具の箔(はく)押し直しなどを行った。総事業費は約7800万円の見込み。県や町の補助金、氏子の浄財を充てる。

 修理をする中で、第一殿の屋根の内側で「享保四年」と記された墨書が確認された。神社で保管する第二殿と第三殿を再建した時の棟札と合わせると、1719(享保4)年に第一殿、20年に第二殿、21年に第三殿と順番に建て替えられたことが分かるという。

 屋根の上に載る木製の「箱棟(はこむね)」を1936年の修理から銅板で包み込んでいたが、以前の外観を再現しようと、黒色に塗装した。

 また、この保存修理工事に伴い、南部川大工組合が鳥居3基を奉納したり、玉垣の塗装を塗り直したりした。神社も新たに参道を整備した。

 硲恭弘総代長(77)は「県や町の補助に助けられ、氏子の皆さんに多額の寄付を頂き、隅々まで修復事業ができたことはこれ以上なくうれしい」。前芝弘知宮司(46)は「皆さんが責任感を持って次の代に伝えるこの事業に関わることができ本当にうれしい。初詣にはぜひ、御神威が増した須賀神社にお参りいただき、ご加護を授かっていただけたら」と話している。

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