「沖縄のどこからも使ってほしくない」辺野古新基地と土砂採掘、遺族ら心情吐露 激戦地土砂採掘、県が受理

 沖縄県糸満市米須の土砂採掘を巡り、業者は遺骨が混じる可能性がないと主張していることに関し、遺族会や収骨ボランティアなどからは懸念も出ている。

 約50年間、遺骨収集に携わってきた県遺族連合会の宮城篤正会長(81)は、採掘が計画されている魂魄(こんぱく)の塔西側は「遺骨がたくさん見つかった場所だ」と振り返る。1961年ごろから計画的に始まった遺骨収集。国と県、遺族会の青年部を中心に米須一帯や摩文仁で約100体を収骨した。長年の遺骨収集で多くを収骨したものの、「残骨は石ころか木片か見分けがつかない」と話す。地表に土も堆積して地中に埋もれているとし、採掘土砂に遺骨が混じることを懸念する。

 実際に現場では琉球石灰岩の下から遺骨が見つかっている。2021年に県と県戦没者遺骨収集情報センターが重機を使った遺骨収集を実施。重機で岩を砕き、砕いた岩の下からは頭蓋骨の一部や首の骨が見つかった。

 21年に遺族連合会の理事らでこの問題について話し合った際にも「(土砂を)取ってほしくない」という意見が相次いだという。宮城会長は「南部だけでなく北部も、沖縄のどこからも(新基地建設に)土砂を使ってほしくない、というのが遺族の心情だ」と話す。

(中村万里子)

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