「命守るため」臨戦態勢 栃木県内の介護・医療現場 コロナ禍3度目の年越し

新型コロナの感染者対応のため、施設内に山積みになったガウンや手袋などの防護具=28日午後、下野市仁良川

 栃木県内の官公庁や多くの企業が28日に仕事納めを迎えた中、高齢者施設や医療機関、保健所などは新型コロナウイルス禍で臨戦態勢が続く。新規感染者数が高止まりする「第8波」の影響で業務は逼迫(ひっぱく)している。ギリギリの対応が続くが、関係者からは「常に誰かが働いて成り立つ仕事」と自負する声もある。一刻も早い収束を願いつつ、コロナ禍で3度目の年末年始を迎える。

 50人が入居する下野市仁良川の特別養護老人ホーム「にらがわの郷」。平柳剛(ひらやなぎつよし)施設長(53)ら職員に「仕事納め」の感覚はない。

 コロナ禍以前から感染症対策を徹底してきた。しかし、12月上旬に初めて入居者1人に感染が確認されると複数人に広がった。

 レッドゾーン(汚染区域)を指定して動線を完全に分けるなどの対応に追われ、業務負荷が増している。人手不足が喫緊の課題。正職員をフル稼働させ、介護経験がある事務職員も応援に入るなどして何とか年越しを迎える。

 平柳施設長は「入居者の生活と生命を守る使命感を持ち、取り組みを継続させる」と気を引き締めた。

 栃木市大平町富田の「藤沼医院」は、自治医大などの大学病院から医師の派遣を受け、365日の診療と24時間のサポート体制を39年間続ける。「いつでも頼れる医療機関として地域の医療を支える」をモットーに掲げている。

 第8波で発熱外来の患者が急増した。抗原検査が陰性でもPCR検査で陽性となる患者が増えたという。藤沼彰院長(ふじぬまあきら)院長(69)は危機感を強め、「年末年始も休まず、地域医療に貢献したい」と話す。

 28日の宇都宮市保健所。担当部署の電話回線は医療機関や患者とのやりとりで、話し中の状態が続いた。年末年始も臨戦態勢だ。

 医療機関からの届け出や重症化リスクのある患者への連絡、入院調整のため1日29人で対応する。さらに感染者の急増に備え、毎日2人の職員がいつでも出勤できるよう自宅待機する。

 掛布張山(かけのはるさん)保健予防課長(54)は「オミクロン株に振り回された1年だった」と振り返りつつ、「コロナを気にせずに日常生活を送れる日が来ることを願います」と話した。

医療機関などからの電話に対応する職員=28日午後、宇都宮市保健所

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