ストライカー必見!豊田陽平が「サッカー界がやっているシュート練習はあまり意味がない」と語ったワケ

ツエーゲン金沢は19日、元日本代表FW豊田陽平と2023シーズンの契約を更新したことを発表した。

サガン鳥栖時代、昇格した2012シーズンからJ1で5年連続二桁ゴールを記録。それもただの二桁ではなく、19点、20点、15点、16点、13点という量産ぶりだった。

そこでQolyは、J1で通算98ゴールを記録している37歳のストライカーを直撃!

インタビュー第3弾では、豊田独特のゴール理論とシュート練習に対する考え方、2018年に半年間プレーした韓国・蔚山現代での挑戦などを中心に聞いた。記事ではその一部を紹介する。

(取材日:2022年11月11日)

――(前略)豊田選手の強みというか魅力の一つがヘディングだと思っています。今シーズンもヘディングでいくつものゴールを決めていますが、ファーにもニアにも打ち分けられる技術が凄いなと感じていて。一方でどんな判断でコースを決めているのかが気になるんですが、その辺いかがでしょうか?

ヘディング自体は自分の特徴の一つなので、足で扱っているのと同じと考えてもらえばいいと思います。「右利きの選手が右足で右の角にシュートを狙う」のと同じで、それが頭のガワに変わっているだけというか。

唯一違うのは、ヘディングはボールが常に空中にあるものなので再現性がありません。なので、僕自身今もそうですけど、これまでずっとサッカー界がやっている通例通りのクロスシュートとか、極論を言うとシュート練習。再現性のないような、試合を描けないとか想定できないシュート練習はあまり意味がないものだと思っています。

僕はどちらかというと練習は確認で、ボコボコシュートを外しています。足でも頭でも。でも、感覚的なものは打った後にちょっと思い返すんですよね。たまにシュート練習とかでも、足の振りとかをエアーで。

大きく外した後でも「ここはもう少し膝をかぶせたかったな」とか、ヘディングも「もうちょっとアゴ引いて」とか。感覚的なものですけどその繰り返しです。

再現性がないのでまったく同じボールは来ないですし、同じ相手もいません。でも確率論だったり、「Jリーグはこうやってこうなればまだまだ力で圧倒できるリーグだよね」というところを自分の中で落とし込んでいます。

「こうなったら勝ちパターンで確実に行ける。少なくともここにはボールを持っていける」とか、「こういうボールが来たらキーパーがこう動くからこっちに打てれば自然と入るよね」という感覚的なものが他の選手より少し、イメージしながらプレーできているのかなと思います。

「シュートを外した!悔しい!」「練習で外したら本番で決められないじゃん」とかじゃないんです。ちょっとドライというか、あくまで練習は練習であって、試合と練習は別物と。

毎日のように試合の感覚で準備をして練習に臨んでいればまた話は違うんでしょうけど、そういうことしたらパンクしてしまうので、うまく自分の中で力のコントロールをしながら。

シュート練習をするにしても、どういうシュート練習でどういう綺麗なゴールを決めたかより、「この形になった時にこの力の配分でここにボールを持っていったらおおよそ入るよね」という感覚をひたすら磨くというか。練習で綺麗なゴールはまったく必要ないです。

だから、僕を知っている選手たち、一緒にやっている選手たちは「トヨさんってシュート下手だよね」と思っていると思います。でも僕はそこの基準じゃないんですよね。外しまくっているけど、感覚はそこじゃないから。面白い話なんじゃないですか?

――とっても面白いです!

シュートの上手い選手はいますよ本当に。練習にしても確実に決める。じゃあ試合でどうですか?と。20点取れますか?5年6年7年8年と二桁を取り続けられますか?ということです。

確実に、この形に持っていったら100%決められますか?となったら、違うんですよ。隙は一瞬なので。その隙を作るためにどれだけエサを撒いて、周りに点を取らせることができる選手…。

僕はもう完全に“取らせることができる選手”とセットじゃないと活躍はできないんです。いるんですよこの世界にも。点を取らせることができる選手、あるいは点の取らせ方が分かっている選手と、点の取り方を分かっている選手が。

それがマッチすると、ボコスカ点を取れるんです。片方でも欠けると、よくて二桁前半。そこの折り合いをつけながら…。なかなかこういう話もしないですけど、これもいつか地元の石川県に還元できたらいいかなと思っています。

動画では他にも、期限付き移籍に対する選手の考え方や、“取らせることができる選手”として挙げた2選手、同じストライカーでも佐藤寿人と違い、さらには韓国・蔚山現代への移籍を決断した理由や、韓国で感じたことなど、たっぷり聞いているのでそちらもぜひ!(※インタビュー第2弾はこちら↓)

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なお、今年地元のツエーゲン金沢へ加入した理由や石川県のサッカーに貢献していく決意などについて聞いたインタビュー最終回の動画はYouTubeの『Qoly公式Ch.』にて近日配信予定なのでこちらもお楽しみに。

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