全国高校サッカー選手権 国見が13大会ぶり勝利 GK今村2本セーブ、PK戦制す

【1回戦、北海―国見】PK戦で北海の7人目のシュートをセーブする国見のGK今村=ニッパツ三ツ沢球技場

 12大会ぶりの出場で注目を集める国見が、苦しみながらも初戦を突破した。先制するも追い付かれ、PK戦では1人目を失敗する窮地に追い込まれたが、ここからGK今村が好セーブを連発して逆転勝利。7人目のシュートをはじき出すと、殊勲の守護神を中心に選手たちが喜びを爆発させた。
 北海はPK戦を見据えて後半終了間際にGKを交代し、長身の「PK職人」を投入してきた。さらに国見は1人目がいきなり止められるという悪い流れになったが、逆に今村は「絶対に負けない。自分が仕事をすれば絶対に勝てる」と闘志に火が付いたという。
 身長174センチの体が少しでも大きく見えるようにと笛が鳴る前はあえてボールに近づき、相手と視線を合わせて威圧感を与えた。跳ぶ方向をあらかじめ決めて、思い切り良く地面を蹴るようにした。狙いがはまり、3人目、7人目ともに右に跳んでセーブ。「夢の舞台に立てて、活躍できた」と言葉をかみしめた。
 優勝6度の名門が久しぶりに「冬の風物詩」に帰ってくるとあって、この日は1回戦にもかかわらず多数のファンが来場。期待の大きさ故に重圧もあり、木藤監督は「見られていると選手も分かっている中で、特に後半はどうしても動きが硬くなってしまった」と認める。勝ち急ぐあまりにわずかなずれが生じ、悪い奪われ方でカウンターの餌食になるなど反省点は多い。ただ、その中でもしっかり勝つあたりが名門たる由縁。スタンドからは「ホーム」さながらの盛大な拍手が送られていた。


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