予告編登場も本編で消えたキューバ出身女優のファン 登場シーンカットで6億7千万円求め提訴

キューバ出身の女優アナ・デ・アルマス(34)のファンが、ヒメーシュ・パテル主演作「イエスタデイ」からアナの役をカットしたユニバーサル・スタジオに対し、500万ドル(約6億7000万円)を求める訴えを起こした。

コナー・ウールフさんとピーター・マイケル・ロスザさんは今年1月、予告編に登場していたアナを見るために、アマゾン・プライムで3ドル99セント(約530円)を支払い、ザ・ビートルズをテーマにした同2019年作を借りたものの、本編ではアナの登場シーンがカットされていたことで落胆したそうだ。

問題としたのは、謎の大規模な停電によりザ・ビートルズがインターネット上から姿を消してしまった世界で、同バンドの音楽を知る数少ない1人となったミュージシャンの姿を描いた同コメディー作の210秒の予告編。アナが15秒間登場していたものの、完成版には本人が出ていなかったことから、ユニバーサルが「虚偽の表現」をしたと指摘。500万ドルという金額は、アナが完成版に登場しなかったことで、がっかりしたファンの数と等しいとしていた。

この訴えに対し、ユニバーサル側は予告編は米憲法修正第1項で保障された言論の自由のもとにあり「非営利的」と捉えられるべきであると反論したものの、今回スティーブン・ウィルソン連邦判事は「予告編は創造性及び編集における一定の決定権が関与するが、営利目的であるという予告編の本質を超えることはない」「予告編の中核は映画のプレビューを消費者に提供することにより映画を売り込むことを目的とした広告である」として、カリフォルニア州の虚偽広告法など営利目的の発言に関する規制下にあるという決断を下し、提訴を認めた。

ユニバーサル側は「ジュラシック・パーク」の予告編でも公開版には登場しないシーンが含まれていたことから、この判決により今後同様の訴訟が起きることが予測されると指摘している。

アナは「イエスタデイ」で主人公の恋愛対象となる役を演じていたが、「フォー・ウェディング」などで知られる脚本家のリチャード・カーティスは、メーンの相手役エリー(リリー・ジェームズ)から関心が遠ざかることを観客が望んでいないと思い、そのシーンを最終版でカットしたと説明している。

「あれは非常にトラウマ的なカットでした。彼女は素晴らしかったですからね」「あの映画の中で私たちのお気に入りのシーンのひとつだったんです。でも、全体を考慮して、カットしなければなりませんでした」とシネマブレンドに話していた。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

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