長崎県勢初「センバツW出場へ」 海星、長崎日大“春の便り”心待ち

緩急自在な投球が持ち味の長崎日大の廣田(右)と昨季から主力として活躍する海星の平尾

 “春の便り”が待ち遠しい。3月18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会の出場36校が1月27日に発表される。4枠の九州地区からは、昨秋の同地区大会準優勝の長崎日大と4強に入った海星の長崎2校同時選出が濃厚。決定すれば県勢初の甲子園ダブル出場となる。県内の球史を彩ってきた両校が一緒に新たな一ページを刻みそうだ。

 振り返ると、長崎は九州でも「弱小県」と言われていたころもあった。夏の1県1代表に比べて春の甲子園は狭き門で、過去の選抜94大会(2020年は中止)のうち県勢が出場権を手にしたのは27大会。九州他県はいずれも2校同時出場を複数回経験しているが、長崎はなかった。
 そして今、流れは変わった。09年春に清峰が夏を含めて県勢初の日本一を達成。以降、県内の競争は激しさを増し、2年に1度はどこかが選抜切符をつかんできた。昨年までの10大会のうち7大会での選出は堂々の九州トップ。ダブル出場の予感は十分にあった。
 その快挙を県内で平成最多、昭和最多の甲子園出場を誇る長崎日大、海星が果たすとなれば感慨深いファンも多いだろう。両校の選手たちは現在、年間で最も過酷な冬の鍛錬に励んでいる。「日大には負けられない」「海星はもっとやっているんじゃないか」-。そんな互いの意識も体を突き動かしている。
 もうすぐ迎えるであろう歓喜の瞬間、そして、パワーアップして挑む球春が楽しみだ。両校が、長崎の選手たちが大きく羽ばたく1年を願いたい。


© 株式会社長崎新聞社