物価高だけど…おせち料理の中身に影響は 福井のスーパーや市場に見る消費者の意識

数の子などの正月用食材を買い求める客=12月30日、福井県福井市の西武福井店

 福井県内の食品スーパーや市場などでは12月30日、正月の食卓を彩るおせち料理の食材を買い求める家族連れらでにぎわった。物価高の影響で紅白かまぼこや数の子といった定番食品が値上がりする中、「正月ぐらいは少し高くても食べたいものを買いたい」と財布のひもを緩める客も。帰省する家族や親戚をもてなそうと、肉類などの売れ行きも良かった。

 福井市志比口2丁目の「ハーツ志比口店」はだて巻き、カタクチイワシの田作り、昆布巻きといったおせちの総菜や、祝い箸など正月関連の商品を集めた売り場を設置。少人数で食べきれる4品入りのセットも用意した。伊藤悟店長(52)によると、おせち関連の食品は全体的に値上がりしたものの、売れ行きに大きな影響はなく、「味付けの数の子などは比較的よく売れている印象」とした。

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 「物価高で普段の買い物は安いものを選んでいる」という同市の女性(69)は、3年ぶりに帰省する息子家族をもてなすため、じっくりと品定め。「久々に会えるし、普段買わないかまぼこも品質と値段を吟味して買いたい」と話した。

 同市中央卸売市場内の「ふくい鮮いちば」では、数の子や酢だこ、海外産ズワイガニなどが昨年に比べて2~3割値上げ。「ますよね ふくい鮮いちば店」の責任者、野坂有美さん(51)は「値上げした分、買い控えが起こるのではと不安だった」が、来店客数が多く売り上げは昨年超えの見込みという。「客単価は昨年より低いけど、顧客が戻ってきてくれたことがうれしい」と笑顔だった。

 初めて市場を訪れた同市の40代男性は「ぜいたくするのは正月ぐらいなので、正直あまり価格は気にしていない」とナマコやかまぼこを買い求めていた。

 同市の西武福井店でも棒だらやいくら醤油漬け、ローストビーフといった定番のおせち単品が並んだ。いずれも昨年に比べて1~2割は値上がりしたが、「お客が買い控えしている印象はない」と担当者。特に肉類を購入する客が多く、帰省する家族や親戚とすき焼きや焼き肉を楽しむ需要が回復してきたという。

 予約販売と31日に店頭販売する箱入りの各種おせち詰め合わせの売れ筋は2万円前後。今年の販売価格は例年に比べて2千~5千円ほど値上がりした。

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