中学生の事故題材に人形劇制作 学生ボランティア 命の大切さ訴え

県警本部でせりふの言い回しなどを話し合うメンバー

 犯罪被害者支援に取り組む岡山県内の学生ボランティア組織の連絡会「あした彩(いろ)」の有志約10人が、2012年に岡山市で女子中学生が車にはねられ、その後亡くなった交通事故を基にした紙人形の劇を制作している。「交通ルールを守り、命を大切に」と訴える遺族の講演を子どもたちに分かりやすく伝える内容。1月中に完成させ、小学校や幼稚園での上演を目指す。

 事故は12年12月に発生。自転車で帰宅中の同市、中学2年秋田あゆみさんが横断歩道ではねられ、翌月14歳で息を引き取った。

 母親の明美さん(57)は「子どもたちを同じ目に遭わせたくない」と13年から県内外で講演。聴講したメンバーが20年秋、「思いを語り継ぎたい」と劇の創作を提案し、明美さんから「加害者も被害者も生まないよう伝えてほしい」と快諾された。

 劇は事故発生から亡くなるまでをたどり、横断歩道を渡る際の注意点などを紹介。「命を失えば大切な人と二度と会えなくなる」といった家族の思いもにじませる。メンバーはあゆみさんや明美さんらの人形を手作りし、昨年12月には県警本部でせりふを録音。「口を大きく開けてはっきりと」「間を空けた方が聞き取りやすい」と話し合いながら人形の動かし方も確認した。

 1月の初演を模索中で、希望があれば県内の小学校や幼稚園に出向く。あした彩代表の環太平洋大4年堀田紗也佳さん(22)は「実話が基になり、自分事として捉えやすいお話。交通ルールを守り、自分の命は自分で守ろうと伝えたい」と話している。

劇で使用する手作りの紙人形

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