福井県は魅力度39位、逆に言えば伸びしろしかない 北陸新幹線県内延伸まで1年、飛躍のビッグチャンス

北陸新幹線福井駅構内に入る車両と乗客のイメージ。2024年春、福井の新時代「シン・フクイケン」が幕を開ける

 北陸新幹線金沢―敦賀間が2024年春、いよいよ開業する。整備計画決定から半世紀。福井県民の悲願実現はもうすぐそこだ。新幹線延伸は福井飛躍のビッグチャンス。足元の魅力を見つめ直し、磨き上げ、「オールふくい」で全国、世界に誇れるまちを目指そう。

 北陸新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に整備計画が決定された5路線のうちの一つ。新規着工の凍結や先送り、白紙撤回などの曲折を経て、金沢―敦賀間は2012年8月に着工した。

 貫通に6年を要した新北陸トンネル、道路橋と橋脚を一体整備した新九頭竜橋など多くの難工事を乗り切り、22年末までにレールはすべてつながった。芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の4駅舎が姿を現し、各駅周辺の再開発が進む。福井駅西口では県内最高層となるビルの建設が進み、まちの姿が大きく変わる期待感が高まっている。

 現在、福井―東京間は北陸新幹線経由で3時間27分だが、延伸後は乗り換えなしで3時間を切る。長野、軽井沢、高崎、大宮といった信州、北関東地域もぐっと近くなり、北陸3県も1時間圏内でつながる。日本政策投資銀行の試算では福井県内への入り込み客は年間78万人増える。大交流時代の幕開けだ。小浜、京都を経て大阪までつながれば、日本海側に新たな国土軸が生まれる。

 21年の都道府県別魅力度ランキングで福井県は39位、北陸新幹線敦賀開業について首都圏の55%が「知らない」―。厳しい現実だが、逆に言えば福井は「未知の世界」。伸びしろは十分だ。

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 福井県観光戦略推進懇話会委員を務めたジェイアール東日本企画の高橋敦司常務取締役は、東北新幹線八戸開業など4度の開業に関わってきた経験を踏まえ「新幹線というアドバンテージを生かせるかは地域次第」と強調。「観光、まちづくりには行政職員から飲食店、旅館・ホテル従業員、小中高校生までみんなに役割がある。地域の人々が主体的に地域の宝に気付き、掘り起こし、磨き上げ、発信していくことが大切」とエールを送る。

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