「メタバース授業」準備着々 帝京大の仮想空間×文星芸大のアバター【動画】

メタバース上の教室にいるアバターを操作する学生たち=2022年12月下旬、帝京大宇都宮キャンパス

 帝京大宇都宮キャンパス(宇都宮市豊郷台1丁目)と文星芸術大(宇都宮市上戸祭4丁目)は、インターネット上の仮想空間「メタバース」で講義を行う「メタバース授業」の実施に向け準備を進めている。帝京大では学生が授業に活用できる仮想空間の制作に取り組む。文星芸術大では新年度、学生有志が仮想空間での分身となるキャラクター「アバター」の制作を始める。両校の特性や技術を生かした試みで、早ければ2024年度の実施を視野に入れる。

 メタバースは仮想現実(VR)などの技術を応用する。自分の分身のアバターを操作し、仮想空間で会議やイベントなどに参加できる。ハウスメーカーが仮想空間上に住宅展示場を設けるなど、ビジネスでも企業の注目が集まっている。

 両校によると、メタバース授業の構想は本年度から両校間で開設し、それぞれの専門領域の講義を受講できる「共同副専攻」がきっかけ。メタバース授業には当面、研究の一環として取り組み、共同副専攻の講義で学生らが具体的な準備を進める。実現すれば県内では大学レベルで初という。

 メタバース授業では、県外など遠隔地からも学生が仮想空間での授業に参加できる。新型コロナウイルス禍などでリアルの講義が休講を余儀なくされても、授業が可能だ。

 授業を担当する帝京大理工学部情報電子工学科の佐々木茂(ささきしげる)教授(56)は「自分自身がキャラクターになることで、教員への質問など学生が積極的に授業に参加できるようになる」とし、コミュニケーションの活発化に期待を寄せる。

 帝京大では22年度、学生らが仮想空間上に同校の教室を制作し、学生それぞれのアバターが動き回れる場を作った。アバターが黒板に手書きした文章を移動できるようにする独自のプログラム開発を学生が進めている。

 23年度には両校の学生がアクセスできる仮想空間や学生の仮のアバターを用意し、メタバースを体験できる授業を始める。一方、文星芸大はデジタル漫画の技術を生かしアバターのキャラクターデザインなどに取り組み連携する。

 文星芸大マンガ専攻の田中誠一(たなかせいいち)特任教授(65)は「先進技術に触れることは学生の進路や学びの幅を広げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代を生き抜く創造性を養う」と話し、DX人材育成の意義も強調した。

メタバース上の教室に集まる学生らのアバター=2022年12月下旬、帝京大宇都宮キャンパス

© 株式会社下野新聞社