【寄稿】スマスロスタートの一ヶ月(WEB版)/POKKA吉田

11月21日から順次始まったスマートパチスロの導入は、いろんな意味で多方面に強い印象を与えたようだ。特に初日となった21日は、ヴヴヴ、バキ、リノすべての機種に注目が集まったが、ヴヴヴの営業データが話題となった。TwitterなどのSNSではコンプリートや純増スピードに注目が集まっていた。データ的にはバキもリノも6.5号機よりも「前」の6号機よりは凌駕しているにもかかわらず、とにかくヴヴヴに注目が集まったと言ってもいいかもしれない。

初日、私は3機種ともに視察はできたが、遊技できたのはヴヴヴだけ。ただ、打てなかった店でも島の外の方で眺めている私にスタッフさんが声をかけてくれたりしていた。「案外やめていく人が多いので打ちたいなら待てば空くかもしれません」みたいな声かけである。また、実際にヴヴヴを打って1,000枚ほどの差枚数を得たが操作などをスタッフを呼んで敢えてどうすればいいか、訪ねてみたりもした。初日の導入店については、ほとんどのケースでスタッフへの事前指導もかなり徹底されており、すべてがスムーズにいったと私は安堵したところだった。

目立ったトラブルがなかったことが最重要だったかと思う。僅かにユニット業者によっては接続や設定のミスがあってちゃんと動作しない、なんてこともあったりしたようだが、おおむね「無事開店できた」と判断して差し支えないような状況だったとあとからも評価できると考えている。

また、プレスリリースで4機種の導入がアナウンスされていたが、残り1機種の鏡は11月21日には導入されず12月になってからの導入となったが、本稿執筆時点では鏡も無事導入された。もともとホール関係者にとって「鏡をメインと考えての導入」という人がおそらく一番多かったこともあって、ヴヴヴのすごいデータやバキの普通に優れたデータとの対比も加えても、現時点では鏡がもっとも市場で評価されているように私には映っている。まあ、新台2週目ということもあるが。

スマートパチスロの導入が進んでいる過程で、スマートパチンコの適合の話も出てきており、本稿執筆時点では大一がスマパチのテストロケーションを直営店で実施するということも明らかになっている。まだテストロケーションの前の週に本稿を書いていることからどのようなものか現在わかっていないが、おそらく多くの業界関係者が遊技客の反応を確かめるためにテストロケーション店を訪れることになると予想している。私も時間があればもちろん視察くらいはしておきたいとも思っている。

スマスロはすでにスタートした。スマパチはテストロケーションが始まる。また、スマパチの本格的な導入開始は現時点でも「来春」の予定・目標設定であり、これが正式にいつになるかは不明だ。できることならゴールデンウィークの直前までには導入が始まってほしいと願っているが、こればかりは型式試験の結果等にも左右されることから、願望は言いつつ状況を見守っていようと思っている。

また、遊楽さんの所有するビルにてスマートガーデンという名称・屋号が遊技産業健全化推進機構に賛同店舗として登録されたことも話題になっている最中だ。遊楽さんはご存知「ガーデン」を屋号に採用しているチェーン店であり、これは誰がどう見ても「スマート遊技機専門店」を目指していると判断できることから、一気に注目を集めている。遊楽さんがまだこの件についてアナウンスをしていないことから詳細は不明だが、スマスロ専門店になるのかスマパチ専門店になるのか、スマスロ・パチ両方のスマート遊技機専門店になるのか、も気になる。登録店舗の住所を考えれば、スマート遊技機をホールのコンビニ化の実現の材料として使うという設置台数になることも予想している人が多く、この場合、昨年の6月頃に業界の重鎮方が全国を行脚してスマート遊技機を説明にまわっていたが、その際にたくさん発言のあった新しいホールの営業態様となる。今は1,000台レベルの大型店に営業上のアドバンテージがあって、かといって大型店を新規出店したところで必ず商圏でトップになれるとは限らないという業界環境である。スマート遊技機を活用したコンビニ化出店であれば、スタッフの数も減らすこともできて出店リスクも分散できることから、場合によっては店舗数増、ということにもつなげる可能性を見出すことができる。コンビニ化出店は、私は中期的な業界の有意義な目標であり、コンビニ化出店が普及すれば既存型営業とコンビニ型営業と、別の軸・視点によるビジネスモデルも成立して、ホール職域だけではなく、業界のほぼすべての職域の企業にとって有益になると信じている。このため大変待ち遠しいのであるが、さすがにその準備が具体的に進んでいる進捗をスマスロ導入開始から一ヶ月も要せずに垣間見れたのは嬉しい誤算であった。ぜひ、遊楽さんには成功してもらいたいし、他の法人もこういう取り組みを積極的に展開してほしいものである。

スマスロ導入のためのユニット争奪戦は悲喜こもごもという様相だったが、需要を満たせる供給がなかった最大の要因は半導体の調達難である。その調達難は実際には10月頃からかなり改善されていることから、年明けて1月にもユニットの供給体制が今よりも強くなると私は予想している。スマスロの導入が争奪戦に負けてできなかった店、導入できたがほしい台数に届かなかった店、導入できたスマスロの台数が少なくてユニット業者の求めに応じてユニットを注文よりも減台せざるを得なかった店等々にとっては、まだまだスマスロ視点だけでもユニットは足りない。さらには来春いつになるか不明もスマパチも控えている。こちらもユニットが必要なことはもちろん、そもそもぱちんこ遊技機は回胴式遊技機のざっくり倍ほどの設置台数なのだから、需要は単純に倍となる。よって、ユニット業者側の調達状況が改善したところで、もともと足りない供給をすべての需要を満たす程度にまで引き上げるような供給ができるとは考えづらい。このため、今後もユニットの需給状況には注目しておく必要があるだろう。

業界マター的にはいろいろネガティブ材料も出てきたこの一ヶ月ではあったが、やはり最大のポジティブ材料であるスマスロが無事に始まったことをもって、今年の遊技日本の私の記事としたい。「終わり良ければすべて良し」とまでは言わないが、激しいペースと化した現在の店舗数減の状況をコンビニ化出店が助けてくれる可能性を考えると、嬉しい材料であり、何度も繰り返してきたが、業界の歴史の年表に記述するべきエポックメイキングであった。

業界も苦しい中、業界紙はさらに苦しい状況が続いております。本紙遊技日本および私が発行人・編集長をやっておりますシークエンスについて、昨年はみなさまに大変お世話になりました。本年も業界紙事業を維持するべくシークエンスも遊技日本も努力していきますので、よろしくお願いします。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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