建部町伝統芸能伝承保存会に大賞 岡山市、協働のまちづくりで

建部町地区の団体が保存に取り組んでいる獅子舞

 岡山市は、市民が連携して地域の課題解決に当たる優れた取り組みをたたえる2022年度「おかやま協働のまちづくり賞」の大賞に、建部町伝統芸能伝承保存会を選んだ。獅子舞や、棒を打ち合う「棒遣い」に小学校低学年の児童や女性の参加を認め、関わる人の裾野を拡大するなど住民が一体となって郷土芸能を継承している。

 保存会は12年に発足し、獅子舞や棒遣いの保存に取り組む建部町地区内の12団体で構成する。子どもから大人まで約300人が活動し、建部祭り(県重要無形民俗文化財)などの秋季大祭やイベントで披露している。

 年4回程度、各団体の代表者が一堂に集まり、互いの活動状況を報告する場を設定。こうした場での話し合いなどを通じ、慣習的に認めていなかった低学年の児童や女性の加入をほとんどの団体が見直した。今では子どもの頃に入った女性十数人が成長し、獅子舞の演舞で使う笛を指導する立場になって次世代に引き継いでいる。

 賞の審査では、22年度のテーマである「伝統・文化で育む、コミュニティと郷土愛~コロナ禍でも取り組みを止めない」に合致すると評価された。

 地域では少子高齢化や過疎化が進んでおり、会長の後藤義則さん(56)=同市北区=は「受賞は活動の励みになる。今後も課題を共有しながら一丸となって伝統を守っていく」と話している。

 賞は市が16年度に創設し、22年度は9団体から応募があった。大賞のほか入賞4団体と奨励賞1団体を選び、昨年11、12月に表彰した。

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