玉城デニー知事に聞く 辺野古移設問題、コロナ禍からの経済回復は?<23年新春インタビュー>

 日本復帰50年の節目を経て、第6次沖縄振興計画がスタートし、経済や社会の発展に向けて沖縄は新たな時代へと歩みを進めた。一方、7割の米軍専用施設が集中する過重な基地負担を抱える中、防衛力強化に向けて政府は県内の自衛隊配備を強化する方針を示している。観光業を中心に新型コロナからの回復も道半ばで、政府がウィズコロナの方針を打ち出す中、新たな経済施策も問われている。玉城デニー知事に2023年の展望などを聞いた。
 ―米軍普天間飛行場の辺野古移設に対し、今後の取り組みは。
 「(昨年)12月8日、最高裁は県の上告を棄却した。私人の権利救済制度である行政不服審査制度を国が用いれば、裁定的関与について、司法審査を回避できることに対し、疑問を持たざるを得ない。しかし、変更承認申請が不承認となったことで、沖縄防衛局は大浦湾側の工事を行うことができない状況であることは変わらない。裁定的関与の問題は、全国知事会とも連携をして憲法が定める地方自治の本旨に基づいた、本来あるべき地方自治の実現を求める」
 ―自衛隊の師団化など増強への考えを。
 「沖縄の基地負担の軽減は米軍と自衛隊と併せて考える必要がある。沖縄に全国の7割もの米軍専用施設が集中する異常な状況の中に、自衛隊が増強することは基地負担が増えることにほかならない。自衛隊配備強化で専守防衛のための抑止力を持ちたいのであれば、十分にまず住民に説明し、かつ米軍基地の整理縮小を同時に進めていくべきだ。沖縄だけに、米軍もいて自衛隊も置いて、ということが当たり前だという議論は不合理だ」
 ―観光業の回復策は。
 「沖縄観光は非常に大きな影響を受けたが、今後の観光振興に向けて、防疫体制と受け入れ態勢を強化し、社会経済環境の調和がとれた沖縄観光を実現していく。量と質のバランスがとれた観光地マネジメントに取り組むことが重要で、観光客と地域住民が価値を共有できるツーリズム体制を目指す。歴史、風土など、ソフトパワーを堪能できる沖縄観光は、富裕層などの世界から注目される観光スタイルを創り上げる点でも、発展性を有している」
 (池田哲平まとめ)
【新春インタビュー】
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▼浜田靖一防衛相に聞く 国民保護への自衛隊の関与は?沖縄の基地負担軽減策は?
▼松野博一官房長官に聞く 沖縄の基地負担軽減、政府の「平和創造拠点」とは?
 
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