2023年に注目される4つのセクターをたけぞうが解説

私にとって2022年のトップニュースは、安倍元首相が銃撃されお亡くなりになった事かも知れません。あまりにも衝撃的な出来事であった事も理由の一つと感じています。

また、個人的な意見とはなりますが、2021年末にさまざまなセミナー会場で「来年(2022年)は防衛関連に注目」とお伝えしていました。その理由は、安倍元首相がテレビや新聞などで、日本の防衛強化を唱えられていたからです。


上昇が目立った防衛関連株

2022年2月にロシアがウクライナに武力行使を行い、現在も続いている状況です。中国も台湾侵攻をする思惑が高まっている事で、2022年は防衛関連株の上昇が目立ちました。

なかでも、政府が日本と英国、イタリア3か国で2035年の配備を目指し、次期戦闘機の共同開発を進める中で、戦闘機の機体などを手掛ける三菱重工(7011)は、昨年株価が約2倍となりTOPIX500採用銘柄の中で上昇率がトップとなりました。同様に、次期戦闘機のエンジン開発を担うIHI(7013)も株価が昨年65%を超える上昇となりました。防衛省向けに数々の航空機の開発や製造を担う川崎重工(7012)なども株価は堅調に推移しました。

ご存知の方も多いとは思いますが、岸田首相は昨年12月に2023年度から5年間の防衛費の総額を、現行の27兆4,700億円から43兆円に増額するように指示しました。こうした背景もあり、防衛関連株の上昇が続きました。

しかし、課題もあります。

日本の防衛産業は利益率が他国と比較し低く、この産業から撤退を考えていた企業が多いという事実があります。そうした課題を払拭する為に西村経産大臣は昨年11月に防衛関連産業と意見を交わし、産業基盤を保つために支援するとしました。

ただ、本当に国内の防衛関連を手掛ける企業が利益を生めるのかは不透明です。昨年大幅上昇した企業の株価がもう一段上昇する為には、着実に防衛関連で利益を上げる事が重要となりそうです。

一方、新型コロナウイルス感染拡大によって行動制限が引かれていましたが、解除に動く国も多くなり、ANA(9202)やJAL(9201)などの空運株が上昇しました。その他でも円安特需が重なった事もあり、高島屋(8233)や三越伊勢丹(3099)などの百貨店株も大幅高となりました。

2023年に注目されるセクター

昨年12月、日本銀行がこれまでの大規模な金融緩和策の修正を決定し、これまで0.25%程度に抑えてきた長期金利の上限を0.5%程度に引き上げる事を発表し、メガバンクをはじめ地銀株が買われました。日銀の政策変更により、三菱UFJ銀行やみずほ銀行は2023年1月の住宅ローン金利について、10年固定で前月比0.2~0.3%程度の引き上げをする予定です。固定金利は上昇するものの、契約者の9割が選ぶ変動金利は据え置きとなる見込みです。

今年の3月で黒田日銀総裁の任期が満了となり、4月には新総裁が決定する予定です。新総裁の元で2016年から続くマイナス金利解除や、大規模金融緩和の縮小などが行われた場合は、銀行株には恩恵となりそうです。

反面、米国の金利が大幅に上昇した事を受け、米国ナスダック指数が30%を超える下落となり、その影響を受け日本のグロース銘柄の下落も目立ちました。ベネフィット・ワン(2412)、メルカリ(4385)、Sansan(4443)、ラクス(3923)、マネーフォワード(3994)などです。その他では、東京エレク(8035)、レーザーテック(6920)などの半導体関連も値下がりが目立ちました。

最後に2023年に注目されるセクターをお伝えします。

昨年12月に政府は2023年度の予算案を発表しました。その中で4分野を重点ポイントとして掲げました。防衛、こども政策、地方・デジタル田園都市国家構想、GX(グリーントランスフォーメーション)です。

こども政策では、4月にこども家庭庁を創設します。出産育児一時金について42万円から50万円に引き上げるほか、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援します。

デジタル田園都市国家構想は、自治体のデジタル実装の加速化やデジタルの活用による観光・農林水産業の振興等の地方創生などを支援するとしています。

GXでは、2050年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発やクリーンエネルギー自動車の導入などの支援を開始します。

昨年同様に、この4分野のセクターから株価が上昇する企業も出てくるように感じています。

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