うさぎ年は「飛躍の年」本当か? 実は“ハイスペ”なウサギの生態【動画】 【あなた発 とちぎ特命取材班】

飼育員の篠崎さんに抱っこされるウサギ。前足と比べて後ろ足が発達している=12月26日、宇都宮市上金井町

 2023年はうさぎ年。新年の干支(えと)にまつわる記事に何げなく「飛躍の年」という決まり文句を使った後で、はたと気付いた。「そういえば、ウサギってそんなに高く跳べるのだろうか」。下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」の記者は、自らの疑問を確かめるべく動物園へと向かった。

 冬休みの家族連れでにぎわう宇都宮動物園(宇都宮市上金井町)。ウサギ担当の飼育員、篠崎亜衣(しのざきあい)さん(28)が迎えてくれた。

 22年の寅(とら)年であれば「勇ましく」、21年の丑(うし)年であれば「忍耐強く」など、その年の干支を連想した抱負が必ずと言っていいほど存在する。うさぎ年で一番に思い浮かぶのは「飛躍の年」。だが、かわいらしくぴょんぴょん跳ねるというイメージこそあるが、高く跳ぶ光景を見たことはない。

 早速、疑問をぶつけると、「ウサギの跳躍力は小動物では一番です」と篠崎さん。垂直には50~60センチ、前には80センチも跳べるという。カンガルーやワラビーには及ばないが、体重差が10倍以上あるため「体重当たりで比べれば、カンガルーたちよりも跳躍力があると言えるかもしれません」。

 跳躍力の源は、前足の4、5倍に発達した後ろ足。野生の天敵から早く逃れるために発達したとされ、足の速さも時速40~60キロと小動物では飛び抜けて速い。一方で、持久力はなく「ウサギとカメの物語通りですね」とのこと。

 ほかにも、聴力や嗅覚、視覚が優れ、歯の切れ味もいいという。なんというハイスペックぶり。性格はどうか。「どちらかというとマイペース。独りでいたいという性格です」。そこに関しては、よく言われる“寂しがり屋”ではないそうだ。

 生態が分かったところで、実物を撮ろうとカメラを構えたが、草をはむだけで微動だにしない。小屋に帰る瞬間、30センチほどの段差を軽やかに越える後ろ姿をやっと見せてくれたのが、秘めた力の証明だった。

 最後に、篠崎さんに聞いた。どんな一年にしたいですか? 「もっと動物に詳しく、動物のためになれるような飼育員を目指して飛躍したいです」

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 宇都宮動物園では1~9日、午後1時から飼育員が生態を解説する「ウサギガイド」を行う。園内では約5種類40羽のウサギを飼育展示している。

のんびりと草をはむウサギ=12月26日、宇都宮市上金井町

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