北陸新幹線工事の難所、加賀トンネル試練乗り越え 福井・石川県境貫く5.5km、地盤隆起対策

新幹線に電気を送るための設備工事が進む加賀トンネル群=福井県あわら市指中

 北陸新幹線金沢―敦賀間(約125キロ)の整備区間にトンネルは12本。福井県あわら市と石川県の境に位置する加賀トンネル(約5.5キロ)は、新北陸トンネル(福井県南越前町―敦賀市間約19.8キロ)に次いで長い。そして、地盤隆起に悩まされた現場でもある。

 底部のコンクリートにひびが入るため、対策工事が必要となった。2023年春だった福井県内開業が1年延期を余儀なくされる一因となった。

 1876本の鉄の棒(固定ボルト)を打ち込み、上から力をかけることで、地盤の変形を抑え込んだ。鉄道建設・運輸施設整備支援機構あわら鉄道建設所の北井慶一所長は「レールを敷いてからも定期的に地形を計測している。問題はない」と話す。

 トンネルの掘削は地道な作業だ。専用の機械を使って、ドリルで穴を開け、コンクリートを吹き付ける。「1メートルずつ」の繰り返しの作業によって、縦横約9メートルの巨大な穴が山を貫いた。コンクリートの厚さは30~50センチと頑丈だ。

 掘った土は、大型トラックで移動させなければならない。北井所長は「トンネル近くの集落内の道路を通って、土を運び出した。あわら市民の理解、協力があってこそ、工事をやり遂げられた」と感謝する。

 現在、トンネル内では新幹線に電気を送るケーブルを張る設備工事などが行われている。難工事を経て、開通準備が着々と進む。

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 北陸新幹線金沢―敦賀間(約125キロ)はレール敷設が完了し、現在は設備や電気工事のまっただ中。24年春の開業に向けて順調に整備が進む「現場」を訪ねた。

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