海藻の温暖化防止効果、観光船用い調査 横須賀で全国初の取り組み

観光船で海中CO2濃度を測定する研究者=猿島付近の東京湾

 横須賀市の無人島「猿島」と「三笠ターミナル」(同市小川町)を結ぶ観光船で、東京湾のワカメやアマモなどの海藻が海中の二酸化炭素(CO2)をどの程度吸収しているかを調べる全国初の取り組みが始まった。海洋生物によって海中に吸収・固定されるCO2由来の炭素「ブルーカーボン」は地球温暖化防止の切り札として期待され、日常的に観測することで周辺海域でどの程度の環境効果があるのかを明らかにする狙い。

 2022年12月15日の研究初日、測定器を搭載した観光船がターミナルを出港した。猿島近くのアマモ群生地に着くと、出港時には417ppmだった海中CO2濃度は405ppmに下がった。この差の観測を続けることで、アマモのCO2吸収量が推計できるという。

 研究に協力するのは観光船を運航する「トライアングル」(同市小川町)、海上・港湾・航空技術研究所(同市長瀬)と同市。ワカメ養殖海域やアマモ生育海域周辺を通常航路にしている観光船に積んだ装置でCO2の海中濃度の変化を自動計測。天候や気温の違いによる数値の変化を分析し、海域全体の吸収量を調べる。

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