福井鉄道福武線の運賃値上げ検討へ 2023年度以降、新型コロナで赤字幅拡大

 福井鉄道(本社・福井県越前市)が福武線運賃の抜本的値上げに向け、2023年度以降に具体的な検討に入る方針を決めたことが分かった。新型コロナウイルス禍の影響などで赤字幅が拡大しているためで、値上げが実施されれば、消費税増税時を除くと1995年12月に国から運賃上限改定の認可を受けて以来となる。

 沿線交通圏の6市町などでつくる福武線活性化連携協議会が12月27日公表した、23年度から5年間の福鉄交通圏地域公共交通計画の素案に盛り込んだ。

 協議会によると、福武線の乗客数は16年度に年間200万人を超えて以降、横ばいで推移していたが、新型コロナ流行後の20年度は159万人に激減。21年度は約3億円の営業収益に対し、営業費用は7億4千万円余りに上るなど赤字幅が拡大している。

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 国と県、沿線3市は23年度から5年間の次期財政支援スキームで、総額33億6千万円を拠出する方針。物価高による労務単価や資材費の上昇に対応するため現行より4億6千万円増額したが、経営基盤の安定化のために運賃の値上げが必要と判断した。23年度以降、同協議会で具体的な値上げ幅などを検討する。値上げは国への認可申請が必要。

 福武線の鉄道部分の運賃上限は現在、2キロまで180円、4キロまで230円などと定めている。協議会事務局の福井市地域交通課は「福武線の経営や昨今の物価の状況を考えると、できるだけ早い時期の見直しが必要」と、地域公共交通計画の計画期間当初での検討着手を示唆した。

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 同計画の素案ではこのほか、交通圏内をつなぐ路線バスなどの充実やICT化の推進、北陸新幹線県内開業を捉えた地域観光との連携などを重点事項に定めた。6市町は1月10日まで、素案への市民の意見を募るパブリックコメントを行っている。

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