F1中国GPが2023年カレンダーへの復帰を申し入れ。F1側との交渉スタートも、大きなハードルに直面

 F1中国GPの2023年開催は正式に中止されたものの、プロモーターが2023年カレンダーへの復帰を目指して、正式にF1に申し入れを行ったことが分かった。

 元々、中国GPは合計24戦から成る2023年F1カレンダーの第4戦として、4月14~16日に組み込まれていた。しかし、F1中国GPのプロモーターである『JussEvents』が、F1とFIAに対し、中国のゼロコロナ政策の下ではグランプリ開催は不可能であると確認、2022年12月2日に中止が発表された。F1 CEOステファノ・ドメニカリと彼のチームは、代替レースの選定に取りかかり、ポルトガルのポルティマオと基本合意に達したとみられている。

 しかし、中国GPのプロモーターはドメニカリに対し、2023年開催中止を撤回したいとの意向を伝えた。中国政府がコロナ政策において方向転換を行い、外国人の入国がオープンになり、いくつかの地域でのロックダウンが解除されたためだ。

 このことがドメニカリに難しい課題を突きつけている。F1のスポンサーや参戦する自動車メーカーにとって、中国は非常に魅力的なマーケットだ。そのため、マーケティングの観点からは、上海でグランプリを開催することが望ましい。金銭的にも、ポルトガルよりも中国のプロモーターの方がはるかに多額の契約金を支払うことができる。2022年から中国出身の周冠宇が参戦しているということも大きい。

2022年F1第16戦イタリアGP 周冠宇(アルファロメオ)

 一方で、中国ではゼロコロナ政策を緩和した後にCOVID-19の感染が急拡大し、感染者数が深刻なレベルに達していることは、F1関係者にとって大きな懸念となる。EUは中国からの入国者に対して陰性証明の提出を義務付けようとしており、チーム関係者が中国で感染すれば、ヨーロッパに戻れなくなる。

 さらに、チームはすでに、中国GP中止の決定に基づいてロジスティクス計画を変更済みだ。中国GPが復活するとなれば、再びプランを組み直さなければならず、どのチームも時間の余裕のないなかでそのようなことを強いられることは望まない。

 一方で、中国GPのプロモーターは開催日を秋に変更することを要求しているという話もある。カタールGPが開催予定の10月6~8日の週末を希望しているというが、カタール側が日程を譲るとは考えづらい。

 ドメニカリは、商業的な面から中国GP開催を望んでいると思われるものの、このように大きな障害があるなかで、どのような決断を下すのかが注目される。

 中国GPは、COVID-19のパンデミックの影響で、2020年から開催を断念し続けているが、2025年までの契約を有している。

2019年F1中国GPが開催された上海インターナショナルサーキット

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