「人の心を動かしたい」高校生が手掛けた壁画アート 宜野座の自然をテーマに制作

 【宜野座】名護高校2年の稲嶺瑠琳(るり)さん(17)=名護市在住=は大作の壁画作品をいくつも手掛け、ボディーペイントも施すなど、努力に裏づけされた才能を開花させている。宜野座村内の住宅でも壁一面に壮大な壁画を手掛けた。

 稲嶺さんは、画材などの材料費や工程管理、契約や交渉も自身で担う。本格的に絵を描き始めたのは高校生になってからという稲嶺さんが扱うこだわりのテーマは、みずみずしい感性で表現される「自然」だ。

 今回、稲嶺さんが壁画を手掛けた住宅は、沖縄のてんぷす(へそ)と呼ばれる宜野座村の中心地で人や車の往来も多く、人目に付きやすい場所だ。「宜野座をテーマにした壁画があればすてきだ」との住宅の家主の思いは募り、琉球新報の記事で活動を知った稲嶺さんに依頼しようと、名護高校に電話した。

 家主は村のシンボル「水」「緑」「太陽」を依頼し、12月3日から制作が始まった。寒風吹きすさぶ寒さの日も、稲嶺さんは日暮れまで制作に没頭した。絵を描くことが好きでたまらないという姿勢が、地域住民には新鮮な感動となり、多くの差し入れや激励をもらったという。「話しやすくてすてきな宜野座村の皆さんのおかげで頑張れた」と感謝する。

 今回の壁画は「太陽を中心に成長していく植物を、その植物の周りには恵みの水を描き、この自然界の豊かさを表現した」と解説する。

 活動開始当初は「学校が終わって寝るまで作業したり、書類の書き方とか勉強したり、とても苦しかった」という。その上で「頑張ってここまで来れて、とてもよかった。17歳で社会勉強ができている気がして本当にありがたく思う」と周囲に感謝する。

 今後の創作活動については「海外での活動や、企業とコラボしてCM映像なども手掛けてみたい。自分の欲や怠けに耐えて本当にいい作品を作り、人の心を動かしたい」との確固たる信念を示した。稲嶺さんのインスタグラムは@guriron098。

 (池辺賢児通信員)

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