アウディF1責任者、2026年からのF1参入は「魅力的」だと語る。3年目に優勝を飾るためのプランを設定

 アウディのF1責任者であるアダム・ベイカーによると、グランプリレースでの成功を目指すアウディは、2026年から3カ年計画を遂行していくという。

 アウディのF1への野望については、何年にもわたって憶測が流れていたが、2022年の夏にようやくF1参入が発表された。アウディは、F1が新パワーユニットサイクルを導入する2026年からグリッドに並ぶ。シャシーを設計するザウバーと提携し、シャシーに搭載するアウディ製ハイブリッドエンジンを、現在建設中のノイブルクのファクトリーで製造することになる。

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 かつてBMWモータースポーツにいたベイカーは、BMWウイリアムズF1チーム、その後はBMWザウバーF1チームでレースチームマネージャーを務めていた。ベイカーは2021年にアウディに移り、FIA F1世界選手権に初めて関与する同社の技術、戦略、運営および財務コンセプトの構築を行った。

 オーストラリア出身のベイカーは、2018年にドイツの市民権を取得し、アウディAGの技術開発担当役員オリバー・ホフマンの直属の部下である。スペインの『AS』のインタビューでベイカーは、アウディがF1参入を決めた理由はひとつではないが、同社が関心を持つにあたっては、F1が電動化を推進していることが決定的だったのは明らかだと述べた。

「理由はひとつだけではない。特にアウディにとってはそうだが、マニュファクチャラーにとって非常に魅力的となるいくつかの要素がそろっていた」とベイカーは説明した。

「F1は、チャンピオンシップに向けたサステナブルなコンセプトの過渡期にある。新ルールによって、電気部品に焦点を当てた革新的なパワーユニットとサステナブルな燃料が導入される。これは電動モビリティに向けられたアウディの未来戦略と一致している」

「また、F1の人気も高まっている。F1はモータースポーツの世界でも群を抜く最高のメディア兼マーケティングツールだ。他の業界を含めたなかでも最高のツールのひとつだ」

「同時にF1はコスト削減を達成しているので、いっそう魅力的なものになっている。2026年のエンジンには支出制限がある。コストを抑えるだけでなく、長期的な予算が確保されるようになる」

「年に24回、自身の能力と知識を示す素晴らしい舞台が必要ならば、ここは最高の場所だ」

 ベイカーは、F1におけるアウディのゲームプランについて、F1参入から3年以内にレースで優勝することだと語った。

「我々は3年以内に競争力をつけたいと考えている」とベイカーは語った。「これは現実的な目標だ。3年目には優勝を争いたいと思う」

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■新規則が導入される2026年のF1参入は「アウディにとって魅力的」

 今のところアウディは、将来のパワーユニットを他のF1チームに供給する計画はないが、今後それは変わる可能性もあるとベイカーは主張する。

「レギュレーションに従って、エンジンを供給するようにFIAから要請されるかもしれない。そうなったとしても、我々は確実にその準備ができるだろう。だが現時点では、カスタマーチームは探していない。まだ時期尚早だ。我々はファクトリーとして自分たちのプログラムに集中するだろう」

 アウディにとって、メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダなどと戦うのは容易なことではない。しかしベイカーは、待ち受けている課題の複雑さをアウディは十分に認識していると述べている。

「この先に待ち受けている課題については認識している。2026年に参入するのはアウディにとって魅力的なことだ。なぜなら以前から決めていたからだ。我々には最初のレースまで42カ月の時間がある。これは過去30年間にどのマニュファクチャラーが行ったなかでも、最も進歩的な判断のひとつに違いない」

「さらに、2026年はレギュレーションのサイクルが始まる。通常なら他のチームはサイクルの途中で参入するところだ。パワーユニットだけでなく、シャシーも変わる。ある意味では、過去に経験を積んだライバルチームのアドバンテージをリセットすることになり、新チームが競争力をつけやすくなるだろう」

「これから新ルールに則ったパワーユニット開発という、長期に渡る仕事が始まる。FIAは2026年のシャシールールについて各チームと作業を継続するだろう。大きく違ったものになる可能性がある。最初のバージョンが2023年の終わりには公開され、2024年に確定することを願っている」

「その後我々はシャシーの作業を始め、ふたつの要素を調整する。2025年にテストが始まり、2026年にはレースに出場だ」

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