副業を始めたひと必見。お金のプロがおすすめする領収書のまとめ方

会社員をしていても、副業を認める企業が増えてきました。しかし、副業をしている人のうちには、副業の所得が20万円超となっても確定申告をしていない人が増えており、税務調査の対象になるケースが目立ってきました。そこで2022年分の確定申告からは、副業でも一定の収入金額があれば、請求書や領収書の保存が義務付けられることになりました。とはいっても領収書の整理といえば、業務に時間を取られ、ついつい後回しにしがちな作業です。

今回は、普段時間を多く取れない会社員が、確定申告時に慌てなくてもすむよう、領収書をどのようにまとめておけばよいのかを紹介していきます。


■年末調整をしている会社員でも確定申告が必要?

本来、年末調整をしている会社員は、本業の給与所得以外の所得が20万円以下の場合には、確定申告は不要です。しかし、会社員でも副業や転売、オークション、ハンドメイドなどの所得が20万円超の場合には確定申告が必要になります。特に業務に係る雑所得は、帳簿の作成や請求書や領収書の保存が義務付けられていなかったので、高額の所得があっても税務署にはバレないだろうという思い込みも手伝って、確定申告をしない人が増えてきました。

こうした背景から、2年前の収入が300万円超の場合には、請求書、領収書、明細などの現金預金取引等関係書類を保存することになったのです。さらに、2年前の収入が1000万円超の人は、収支内訳書の作成が必要になりました。ここで注意すべきなのは、収入ベースであり、経費を差し引いた後の所得が基準になっていない点です。税務署では、資料の保存をすることによって、自発的に適正な申告が行われるようにプレッシャーをかけることを狙いとしているようです。

■領収書整理のポイント

領収書は、経費を支払ったことを証明する会計書類の一つで、税務申告の際に必要になるものです。とはいえ、業務にできるだけ時間を割きたいので、領収書の整理はさっさと済ませたいところです。個人事業主の規模とはいかなくても、領収書を1年分ほったらかしにしておくと、何にお金を使ったか思い出せなくなり、領収書の紛失の原因にもなります。業種によってはたくさん領収書が発生しないものもあるので、専用の領収書ボックスを用意したり、クリアファイルに入れたりして、ある程度たまったタイミングで整理します。少なくとも月に1回程度は整理をしましょう。

まず領収書を月ごと、日付順に分けます。その次に「通信費」「消耗品費」「交通費」などよく使う科目ごとに分類します。金額が少ないものは、「その他」という分類で構いません。その月の科目ごとの金額を計算しておきます。

領収書を整理するときに心掛けたいのが、記帳や会計ソフトへの入力と領収書の整理をいっしょに取り組むことです。勘定科目ごとに分ける仕訳をして、整理、保管することで、経費の計算をラクにすることができます。

■領収書保管の方法

領収書の整理・保管は、月別で日付順が基本です。しかし、1年間の経費の証明ができればよいので、月ごとにざっくり日付順になっていればよい程度です。

領収書の保管の方法は、
・貼る
・封筒保管
・ポケットファイルに保管
などの方法があります。

●貼る
スクラップブックやノート、コピー用紙に日付順に貼るのが一般的です。取引量が多くなってきたら、紙に領収書が重ならないようにファイリングしていきます。後から差し替えたり、移動したりしたいときは、コピー用紙に貼るのが便利です。コピー用紙は紐でとじたり、紙ファイルにまとめたりします。

●封筒保管
領収書を貼って保管するのは、のりで貼る手間が生じます。もっと簡単にしたいと思う場合には、月ごとに封筒に入れて保管します。封筒の代わりにクリアファイルや紙袋を使っても構いません。量が多いときにはホチキスでまとめます。封筒には、「〇月分」と表書きをしておき、1年分をまとめて保管します。

●ポケットファイルに保管
領収書の整理に手間をかけない方法として、ポケットファイルに入れることもおすすめです。13ポケットがあるものは、月ごとに分けて保管できます。仕切りの数によって月別に分けて収納、経費ごとに分けるなどの使い方ができます。

■確定申告前に準備しておくこと

副業での収入は、営利性や反復性、事業の性質などから、「事業所得」「不動産所得」「雑所得」などに分けられます。会社員は、本業の給与所得以外の所得が20万円超の場合には、確定申告が必要になるので、申告前には収入がいくらで経費がいくらかの把握が必要です。毎月、科目別に分けた領収書の金額や銀行から引落しがされたものを足していくと、経費の総額が計算できます。そこで、副業の収入から副業での経費を差し引いたものが所得となります。

副業でも所得が20万円を超えれば、確定申告は免れません。確定申告で給与所得と副業の雑所得と合算して、所得税の計算をやり直すことになります。

雑所得となる副業では、帳簿の作成は義務付けされていませんが、収入金額に関わらず収入や経費の内訳をインフォーマルな形でまとめておくとよいでしょう。

■会計をもっとラクにしたい場合

領収書を毎月整理して記帳や会計ソフトへ入力しておくのは、何だか大変そうだと感じる方は、会計初心者でも使える会計ソフトを利用すると時間の節約ができます。領収書やレシートをスマホで撮影することで自動入力が可能です。これなら仕訳が苦手な人でも安心です。また銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連携することで明細を自動取得するので、データを手入力する必要がありません。

副業専用の銀行口座やクレジットカードを準備して、経費の支出は副業専用のクレジットカードにまとめておけば、入出金、経費の管理が簡単にできます。

■領収書保存はいつまで?

個人事業者の場合、青色事業者か白色事業者かで領収書の保存期間が異なります。領収書の保存期間は、白色事業者は5年、青色事業者は7年になっています。副業でも前々年(2020年)の業務にかかる収入が300万円を超える場合には、保存期間は確定申告期日の翌日から5年間になっています。しかし、状況によって領収書の保存期間や対象が変わることがあります。証拠として大切なものなので、収入金額に関わらず領収書は保存しておく方がよいでしょう。

また、紙でもらった領収書はかさばるので、スキャンやスマホ撮影したもので代用したいところですが、電子帳簿保存でのスキャナ保存は認められる要件が厳しくなっています。税務署の承認がないまま電子化しても保存していることにはならないため、紙の領収書は捨てないで期間内は保存しておきましょう。

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