オフィス街に緑地空間「Otemachi One Garden」がオープン、働く人の癒しや脱炭素に寄与

三井物産と三井不動産は東京・大手町に「Otemachi One Garden」をオープンした。複合施設ビルOtemachi Oneと三井物産ビルが並んだ6000平方メートルの緑地空間に、中・高木約300本、低木約6,600本を植え、隣接する皇居に生息する鳥や昆虫など多様な生物の生育環境の拡大を促す。また樹木にはCO2を蓄えて大気中に排出しない炭素を固定する効果があり、本数や規格からCO2固定量を年間11トンと試算しており、都心のオフィスで働く人の癒しや賑わいの創出だけではなく、脱炭素に寄与するという。また、災害時には帰宅困難者のための一時滞留スペースとして、すでに一時滞在施設に登録されているOtemachi Oneとともに活用する。今後は大手町で企画されるエコ体験ツアーの環境教育イベントなどを開催する予定だ。(松島香織)

Otemachi One Gardenは、三井物産と三井不動産が参画している「大手町・丸の内・有楽町地区 まちづくり協議会」で策定された「大手町・丸の内・有楽町地区グリーンインフラ推進基本方針」に沿ったインフラとして位置づけられ、より快適で創造性あふれる都市空間の創出が期待されている。グリーンインフラとは、ハード・ソフトの両面で自然環境の多様な機能を活用する取り組みで、持続的で柔軟なまちづくりに向けて各地で積極的に導入が進められている。

ガーデンは、「憩う場」「潤う場」「賑わう場」「働く場」「思索する場」という5つのコンセプトが設定され、7つのゾーンに区切られている。ウォーターガーデンは自然な水の流れと天敵から身を隠す石を置くなどの工夫をしており、カルガモの飛来を期待して作られた。インペリアルグリーンには常緑芝が敷き詰められ、開放感のあるオープンスペースとなっている。

Otemachi One Gardenを担当した大羽氏(左)と王氏(右)
夜になるとイルミネーションが人々を癒す

本プロジェクトを担当した三井物産新本社ビル開発室マネージャーの王暁宜氏は、「10年前からこうしたハードを作ることを進めていたが、ソフト面で大切にしているキーワードは『非日常』。オフィスで働く日常にいかに非日常をもたらせるかを考えてきた」と話す。

王氏のお薦めのゾーンは木々の中に砂利を敷き詰め、ベンチやテーブルを設置したサクセッションフォレストだ。「雑木林はこれから成長するので、担当者として成長を見守る期待感がある」。木はパネルのようにプライベート空間を作るように配置しているので、会議室の壁に囲まれた感じになる。一方で開放感があり、自然の中にいることを感じられる空間になっている。

三井不動産ビルディング事業二部事業グループ主事の大羽康允氏は、木々によるCO2固定量について、「これだけの樹木を都心に植えるので、どれだけ環境に貢献できるかを定量的な指標でもって確認しておきたかった」と話す。Otemachi Oneが排出するCO2についての数字は非開示だが、各設備をどうやったら効率的に抑えることができるのか考えながら運営していくという。

「都心や地方に関わらず、人が集まることで偶発的なイノベーションが起こり得る。リアルで集まる価値はあると考えている。この広いガーデンでは季節を感じることができ、オフィスで働く人にとっての心のゆとりになるのではないか」と大羽氏は期待を寄せている。

16日のオープニングセレモニーには、デンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏による球体を重ねたフラワーディスプレイを展示。バーグマン氏はイルミネーションの点灯式を行った後、2つのフラワーブーケを作るパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げた。オープンを記念したフラワーディスプレイやイルミネーションは2月14日まで楽しめる。

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