<金口木舌>子どもの笑顔輝く卯(う)年に

 子孫繁栄を願う名護市久志区の伝統行事「ドウドイ」が3年ぶりに開かれた。丸太を十字に縛った「ウマ」にまたがる男性の姿にこちらの顔も引きつった

▼厳しい試練を課す伝統行事だが、それほど子宝を強く願ってきた証しだろう。乳児死亡率が高かった時代、子どもは家族だけではなく社会にとって文字通り「宝」だった

▼1970年代、第2次ベビーブームが訪れると、一転して人口抑制が叫ばれるようになった。74年の第1回日本人口会議は、資源の乏しさを背景に「『子どもは2人まで』という国民的合意を得るよう努力するべきである」とする大会宣言を採択した。少子化に悩む現在からは考えがたい

▼合計特殊出生率が全国一の沖縄でも少子化は進んでいる。もちろん、生むかどうかは各人の自由な意思で選ぶべきことだ。ただ、子育て支援制度の充実によって、将来への経済的な不安などから出産をためらう人の背中を押すことはできる

▼今年は卯(う)年。ウサギは多産や繁栄の象徴でもある。子どもの笑顔が輝く社会にするのは大人の責務だろう。

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