【高校サッカー 】大迫勇也の鹿児島城西以来14大会ぶりの鹿児島勢4強 前回王者破った神村 また逆転勝ち 大迫、福田軸の赤いタレント軍団が存在感

後半、シュートを放つ神村・西丸(12)=等々力陸上競技場

 第101回全国高校サッカー選手権準々決勝は4日、神奈川県の等々力陸上競技場などであった。鹿児島県代表の神村学園は、前回大会王者の青森山田に2-1と逆転勝ちし、ベスト4入りを決めた。同校の準決勝進出は16大会ぶり2度目で、県勢の4強入りは大迫勇也を擁した鹿児島城西以来14大会ぶり。

 準決勝は7日、国立競技場であり、神村は岡山学芸館と対戦する。

■「緑の牙城」を攻略

 鮮やかな逆転劇が、1万1000人超のサッカーファンをうならせた。赤いタレント軍団・神村は、昨年覇者の青森山田を2-1で撃破。高い組織力と守備力を誇る「緑の牙城」を後半に攻略し、観客を大いに沸かせた。

 13大会ぶりの準々決勝を戦った神村が顔を合わせたのは、当時4強入りを阻んだ相手だった。優勝3回と高校サッカー界を長くけん引する王者に、攻撃的サッカーを貫き、力でひっくり返した。

 前半34分に失点し0-1。ハーフタイム、選手らは「やってきたことは間違いない。絶対に逆転できる」と焦った様子はなかった。初戦から3試合連続で先制点を許したが、勝ち上がってきた自信があった。きつい時には「有村先生と一緒に戦おう」(笠置)と、体調不良で戦列を離れた恩師を思い出し、奮い立たせた。

 後半16分、神村のホットラインが機能する。自陣深くにいた大迫から、中盤の福田へロングパス。福田が落としたボールを、西丸が鋭いドリブルで切り込み同点弾をたたきこむ。4分後は、福田が「エースの貫禄」とばかりに、こぼれ球を冷静に決めた。

 1点リードすると、守りでも好プレーが続いた。相手のプレスをかわしてボールをキープしたMF笠置、カウンターに素早く対応したDF中江や吉永など「いぶし銀」の活躍も光った。

 鹿児島実高時代に全国制覇を経験した有村圭一郎監督が、常々口にしてきた「強い鹿児島を取り戻す」。選手たちは、その言葉を大舞台・国立で証明する。

後半、シュートを放つ神村学園の福田(中央)=4日、神奈川県の等々力陸上競技場

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