札幌のスピードスター小柏剛 終わらない目標③【少年時代と家族への思い】

【少年時代と家族への思い】
新千歳空港から羽田空港への機内。
アウェイ移動の時は、身体を休める時間に使うという小柏。この日もタイから帰国した翌日という事もあり、疲労の色が。朝7時に家を出て高崎に着いたのは、午後2時を回っていた。そして、駅に着くと「ただいま。懐かしいっす」と安堵の表情をみせた。

その後、実家に到着し母親に会った瞬間、プロサッカー選手の顔が息子の顔に戻った。中学3年から寮に入っていた小柏。

彼の部屋に行くと、サッカー少年の取材をしているようだった。机の引き出しを開け「すごいんですよ。これ」と見せてくれたのは、2006年日本代表メンバーのトレーディングカードだった。

その中に、現在札幌でプレーする小野伸二のカードを見つけると、「これサイン書いてもらおうかな」とキラキラした少年の笑顔を見せた。

1998年に小柏家の次男として生まれ、兄の影響でサッカーを始めたのは幼稚園の時。小学生で出場した全国大会での活躍が県外クラブから注目され、大宮ジュニアユース加入となった。

そんなサッカー少年・剛が通った小学校へ。
懐かしいグラウンドを前に「校舎の中で鬼ごっこをして、配膳台に突っ込んで、おでこを切り、縫ったんです。その翌日、朝グラウンドで片目をつぶりながらサッカーをしていたら、先生に怒られました」

とにかくサッカーが好きだった少年時代の彼の姿が目に浮かんだ。

そんな剛を育て上げたご両親に、少年時代の彼について尋ねてみた。
「頭をホチキスで縫ったり、おでこも縫った跡があるし、歯ブラシが口の中に刺さって救急車に乗ったりとか…」救急車には3~4回は乗ったというやんちゃな少年時代。

ただ、この頃のケガとは全く違うプロになってからのケガに、父・康正さんは「画面でケガをする姿を見ると、ちょっと辛いものはありますね」

母・由美さんは「プロになんかならない方が良かったんじゃないかというくらい辛そうだし、これからまた大変なのかなって、すごく心配になっちゃう」と、親としての本音を語ってくれた。

そんな優しく支えてくれたご両親への感謝の気持ちは、プロ入り初ゴールという形でピッチで表現した。

「今まで支えてくれた人への恩返しというところを目指してやってきた」

それは、プロサッカー選手・小柏剛がピッチで表現する事のルーツだった。

次回【恩返しと終わらない目標】へ続く
(2022年12月30日放送 テレビ北海道「終わらない目標 札幌のスピードスター小柏剛」より)

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