コロナ下のしんどい時にこそ… 若者へのエールとして民謡を届けたい

ミュージカル「青春(アオハル)するべ!」の一場面。左から2人目が主人公・さくら役の佐々木さん=昨年12月3日、仙北市田沢湖のあきた芸術村小劇場

第1部・現在地(5)劇団わらび座

 秋田県仙北市田沢湖のあきた芸術村で昨年12月から、劇団わらび座の新作ミュージカル「青春(アオハル)するべ!~由利高校民謡部ストーリー~」が上演されている。由利本荘市にある同名の部をモデルに、女子部員が仲間と困難を乗り越えながら民謡を好きになっていくストーリーだ。

 主人公さくらを演じる佐々木亜美さん(25)は、この由利高民謡部出身。「ハー本荘 ハー名物 ハー焼山の ハーわらびヨ 焼けば焼くほど ハー太くなる」。劇場いっぱいに響く伸びやかな声で、地元民謡「本荘追分」を唄い上げる。

 中学までソフトボール部。民謡は何となく聴いていた程度だった。高校入学時の部活動紹介で「何かいいじゃん」と選んだのが民謡部。訪問した福祉施設などで、年配の利用者が喜んで合いの手を入れてくれるたびに、「こちらから与えるだけでなく、聴く人たちと気持ちの交換ができる一体感が好き」になった。

 何げなく選んだ民謡部は、その後の人生をも変えた。高校2年生でわらび座の舞台を観劇し、「こんな本気の人たちがここにいたんだ」とほれ込み、役者の道を志した。

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