「市長ではなく社長の経営感覚がないとやっていけない」鈴木浜松市政の16年と新リーダーに求められるものとは【2023新たな道筋】

「LIVEしずおか」では「2023新たな道筋」と題し、2023年の静岡を展望します。今期限りで勇退する鈴木康友浜松市長。約10年の年月を要した行政区の再編などに尽力した4期16年を振り返り、次期市長に望むことを聞きました。

<浜松市 鈴木康友市長>

「次期市長選には出馬せず、4期をもって市長の職を退任することを決断いたしました」

2022年10月、浜松市の鈴木康友市長は2023年4月に行われる市長選に出馬しないことを表明。現在の7つの行政区を3つに再編することが、2023年2月の市議会で可決するめどがたったためです。「行政区再編」は、約10年かけて議論してきた鈴木市長にとって最大の公約でした。

<野田栞里記者>

「あらためて、目途が付いたことについて教えてください」

<鈴木康友浜松市長>

「来年(2024年)の1月1日に新しい区制に移行するとそういうことでは感無量、やっとやり遂げたなという感じ」

鈴木市長は2007年の浜松市長選で初当選。就任後、行政区再編に加えて、鈴木市長が一貫して取り組んだのが、行財政改革と産業振興の2本柱です。行財政改革の代表が職員定数の適正化です。

<鈴木康友浜松市長>

「職員の数を徐々に削減していってスリム化していくと、今年度までに1319人の定数を削減しまして、その分人件費をグッと圧縮できるわけですね」

さらに、2000を超える市の施設を約650も廃止し、年間約35億円の維持費を削減しました。

<浜松市 鈴木康友市長>

「その結果、市債ですね。借金を計画的に減らしてまいりまして、私の任期中に1300億円の市の債務を削減いたしました。政令市20市の中で、浜松は圧倒的に健全財政になりました」

そして、税収を増やすため、力を注いできたのが産業振興。その一つがベンチャー企業への支援でした。首都圏からなどのオフィス移転の受け皿として、使われなくなった市の施設をリノベーションして、サテライトオフィスなどを整備しました。

オーディオ機器のベンチャー企業「キッコサウンド」の廣井真さんは「素晴らしい景色で本当に自由な発想が求められる仕事なので、こういう自然に囲まれてできるのはありがたいですね」と語ります。

さらにソフト面では、浜松市独自の融資制度を作り、17のベンチャー企業が「モノづくり浜松」の一員として飛躍を続けています。

<鈴木康友浜松市長>

「べンチャー企業の人たちは、僕のことを市長ではなく、社長というんですね」

鈴木市長在任中、ベンチャー企業以外にも成長産業をターゲットに立地環境を整えることで、300社あまりの企業誘致に成功しました。

<鈴木康友浜松市長>

「これからは自治体の首長は経営感覚がないといけない。僕のことを市長ではなく、社長と市の職員の中にもそういってくれる職員もいるわけです。まさに社長の感覚で経営していかないとできないと思うんですね」

<浜松市長選に立候補を表明した中野祐介氏>

「浜松市長選挙に立候補させていただく決意を固めました」

鈴木市長からも後継指名されている元総務省の中野祐介さん。「エビデンス」を大切にしたいと語ります。

<浜松市長選に立候補を表明した中野祐介氏>

「(経営感覚)その感覚を単なるヤマ勘ではなく、データに基づく、最近でいうとエビデンス(根拠)に基づく行政経営、こういうのが求められているんだと思いますので、そういう所は私もしっかりやっていかなければいけないと思っています」

年が明け、中野さんは市議会の会派へ新年のあいさつ回りに訪れるなど自身をPRします。

<浜松市長選に立候補を表明した中野祐介氏>

「ぜひ、みなさんと一緒になってこれから浜松を良くできるように頑張っていきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いをいたします」

4期16年にわたる鈴木市政に代わるリーダーを決める浜松市長選は、3月26日に告示されます。

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