「不審者」という言葉で犯罪は防げるか? 立正大学 小宮教授が「Surfvote」上で投票を開始

政策提言SNS「Surfvote」の専門家コーナー【シンカブル】において、立正大学の小宮信夫教授(社会学博士)が「不審者」という言葉の犯罪予防効果について問う投票を開始した。

「Surfvote」はPolimill株式会社が運営する目的特化型SNSサービスで、登録ユーザーは興味ある話題や政策に投票(Vote)やコメントができる。【シンカブル】は各分野の専門家や有識者が中立の立場から執筆するコーナーで、制度、宗教、言論の自由など様々なイシューが取り上げられている。

2022年12月26日から公開されている小宮教授によるイシュー『「不審者」という言葉を使うことで、犯罪を防げるか?』では、「不審者」という言葉を使うアプローチのメリットとデメリットを列記し、「不審者」という言葉を用いるアプローチは果たして防犯対策として有効かどうかを問うている。

小宮教授によれば、防犯を話し合うため人が集まれば、必ずと言っていいほど「不審者」という言葉が登場する。「不審者に気をつけろ」「不審者を見かけたら110番」「不審者情報を共有しよう」といったこの種のメッセージは至る所で見かけることができる。

「不審者」の定義は、それを用いる主体によって少しずつ異なる。例えば警察庁では、子どもの安全を脅かす不審者を「声かけ事案等を行い、又は行うおそれのある者」と定義している。文部科学省が作成した「学校不審者侵入時の危機管理マニュアル」では、「正当な理由がなく校地や校舎に立ち入ったり、立ち入ろうとする者」を「不審者」と呼んでいる。

「不審者」という言葉を使うアプローチのメリットは、「周囲を警戒しやすくなり、その結果、いち早く、犯罪を実行しようとする人に気づける」、「子どもや地域住民との共通言語になり、防犯意識や共同体意識が高まる」、「不審者という言葉を否定すると、これまでの活動を否定することになり、防犯活動を行っている人のモチベーションを低下させてしまう」ことなどがあげられる。

一方、デメリットは「定義があいまいなので、防犯活動の共通の基盤にはなり得ない」、「不審者という言葉を使っても、実際に犯罪を実行しようとする人を見極めることは不可能に近い」、「不審者という言葉が広まると、外見上、普通と違う人が犯罪者とみなされ、差別が生まれてしまう」ことなどがあげられる。

『「不審者」という言葉を使うことで、犯罪を防げるか?』についての投票は、「Surfvote」で2023年3月31日まで受け付けている。

参考:【Surfvote】「不審者」という言葉を使うことで、犯罪を防げるか?

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