埼玉の自転車事故死が大幅減、取り締まり効果大 警官の肌感覚ではなくデータ分析で対策 逆に増えた事故は

事故死者14人減の104人 22年県内、自転車が大幅減

 2022年の埼玉県内の交通事故死者(暫定値)は21年より14人少ない104人で、統計のある1948年以降、過去7番目に少なかったことが、県警のまとめで分かった。物件事故が7千件以上増えた一方で、事故死者数は54年以降では最少を記録。特に自転車事故死者が16人で前年から18人減ったことが大きな要因となった。県警交通総務課は「分析システムを活用して、自転車事故の多い地域や路線で、交通指導取り締まりや安全啓発活動を効果的に進められたからでは」としている。

 同課によると、死者数は昨年は過去最多だった1970年の845人に比べて、8分の1以下にまで減少。前年は全国ワースト6位だったのが昨年は同8位となった。

 104人の死者を状態別で見ると、歩行者が49人で微増(4人)した一方で、自転車は18人減の16人で半数以下になった。要因として挙げられるのが交通事故分析システムの定着だ。県警は2021年3月にシステムを導入。それまでは警察官の肌感覚や住民からの要望などを基に取り締まりや啓発を行っていたが、データを根拠とすることで対策がより効果的になった。

 県内39警察署がそれぞれの管内から自転車指導啓発重点地区・路線を選定。交通指導や悪質違反者への取り締まりのほか、一般利用者へのヘルメット着用や交通法令の順守を呼びかける啓発活動を実施した。同課は「重点路線内の方が自転車事故自体の減少率が高かったことが、数字として出ている」と力を込める。

 また、死者の年齢層別では高齢者(65歳以上)が依然としてトップで構成率は62.5%とやや上昇しているものの、死者数は65人で前年比で7人減った。高齢者の自転車や歩行者事故が多い地域をシステムで分析。自宅から近い場所で起きやすいという統計から、県警は周辺の世帯に訪問して交通安全指導も行っている。

 人身事故件数は前年比130件(0.8%)減の1万6577件、負傷者数は同286人(1.4%)減の1万9591人で、いずれも12年連続で減少し、1967年以降で最少だった。物件事故件数は同7608件(5.6%)増の14万4167件だった。

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