フォルクスワーゲンの電動ブランド、ID.ファミリー初のセダン『ID.7』がカモフラ柄で登場

 2023年1月5~8日にラスベガスで開催中のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)会場にて、フォルクスワーゲンの電動化ブランド『ID.』ファミリーの次期車両である初のセダンモデル『ID.7』がデジタルの特殊カモフラージュを施されて登場。最大約700km(WLTP)の航続距離を誇る量産モデルのワールドプレミアは、2023年第2四半期が予定されている。

 2026年までに発売を予定する10の新しい電動モデルの1台であるID.7は、ハイボリュームセグメントであるアッパーミドルクラスに分類されるセダンとなり、先行する『ID.3』(日本未導入)や『ID.4』に続き、グループが誇る電動プラットフォーム、モジュラーエレクトリックドライブマトリックス(MEB)を基に構築されている。

 フォルクスワーゲンとしては約6年ぶりの出展となるラスベガスのCES会場で披露された同車は、カモフラージュ柄となるユニークな塗装を施したデジタルデザインが特徴となり、導電性の塗膜と絶縁性の塗膜を含む40層からなるペイントが施された。

 これにより車両の合計22の領域は個別に制御でき、塗装の最上位の層より下層(エレクトロルミネセンス)は電気が供給されて発光し、これらすべてがサウンドシステムに接続されている場合、リズムに合わせて個々の領域の照明が視覚化されるインタラクティブな仕掛けにより、電動モデルの新たなフラッグシップとなるID.7の、デジタル化における次のステップを象徴する。

 フードと両サイドの二次元バーコードなどにより、最終的な生産車両の輪郭やディテールはマスクされているものの、全体的に空力を意識したスタイルはエネルギー消費の削減と航続距離の延長に貢献する造形に。

 エアロダイナミックなフロントセクションと後傾したルーフを始め、エアインテークを通って流れる空気を車両の側面から後方へと狙いどおりに導くことでエアカーテンを形成し、車両の側面の空気の流れを静めるなど、短いオーバーハングと長いホイールベース(2970mm)を備えたMEBの利点も含め、優れた空気抵抗係数に貢献している。

最大約700km(WLTP)の航続距離を誇る量産モデルのワールドプレミアは、2023年第2四半期が予定されている
カモフラージュ柄となるユニークな塗装を施したデジタルデザインが特徴となり、導電性の塗膜と絶縁性の塗膜を含む40層からなるペイントが施された

■室内空間にはARヘッドアップディスプレイ、15インチスクリーンなども標準装備

 そのスタイルはゆとりある室内空間を備えた上級セダンとしての特徴にもつながり、インテリアでも新しいディスプレイコンセプト、AR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイ、15インチ(38センチ)のスクリーン、そして照明付きタッチスライダーなど多くのイノベーションが標準装備に。

 さらにインテリジェントベントを備えた新しい空調コンセプトは、キーに基づいてドライバーが近づいていることを検出し、ドライバーが車両に乗り込む前に夏の暑い日には車内を冷やし始め、寒い日には車内を暖め始める機能も備わる。

 そのうえで、車内に乗客がいる場合は空気を直接体に向けたり、間接的に車内を換気する、新設計の“スマート・エア・ベント”が空気の流れをコントロールし、ダイナミックに動くことで広範囲にできるだけ早く空気を分配。これらの機能は新しい大型ディスプレイでいつでも見ることができ、ユーザーごとに個別に保存することも可能となっている。

 さらに音声コマンドを使用して特別なリクエストを有効にすることもでき、ユーザーが「ハロー、フォルクスワーゲン。手が冷たい!」と言えば、このID.7はステアリングヒーター機能を作動して応答し、同時に暖かい空気が手に向けるなど細部に至るユーザビリティを実現する。

 このID.ファミリー最初のモデルであるID.3が2020年9月にデリバリーを開始して以降、すでに50万台以上の販売実績を積み重ねており、日本にも上陸したID.4に続くMEBベースのフォルクスワーゲンによる2番目のグローバルカーであるID.7は、中国、欧州、北米の主要3市場に投入される予定で、日本への導入時期や仕様は、ワールドプレミア以降にも検討される見込みだ。

インテリアでも新しいディスプレイコンセプト、AR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイ、15インチ(38センチ)のスクリーン、そして照明付きタッチスライダーなど多くのイノベーションが標準装備に
『ID.7』は、中国、欧州、北米の主要3市場に投入される予定で、日本への導入時期や仕様は、ワールドプレミア以降にも検討される見込みだ

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