「柔軟性のなさに呆れる もっと謙虚に、真摯に」川勝平太静岡県知事がJR東海を辛辣批判 リニア問題の着地点は【新春知事対談②】

静岡県の川勝平太知事に聞く新春知事対談。2回目は「リニア問題」がテーマです。川勝知事に水問題の解決策や議論の着地点について、SBS滝澤悠希アナウンサーが聞きました。

滝澤;JR東海の田代ダム案についてどう思うか。

川勝;取水が抑制されて、大井川に水が戻ってくると東京電力が明言したとすれば、歓迎しない人はいない。だから、そういう結論になれば大歓迎。不必要というなら、返してもらったらいい。できるかどうかを水資源の専門部会で検討してもらわなければならない。その結果を楽しみにしている。

滝澤;仮に田代ダム案が可能と判断された場合、水問題の解決策として認めるか。

川勝;流量が増えるのでありがたい。だけど、それば流量が増えるからいいといって、残土もOK、生態系もOK、水質もOKとはならない。いろいろな議論が残っていると思う。

滝澤;盛り土や生態系維持など多角的にとらえることが大事か。

川勝;多角的というより、環境影響評価をしないまま工事に入っている可能性がある。2010年にこのルートが突然決まった。調査をまともにしていないということが明らかになってきて、静岡県の南アルプスの水資源・環境を保全しなさいといっているのだから、事業主体のJR東海は、もっと謙虚に周りの人たちの意見を受け入れるべき。

それを一切やろうとしないで一貫して、静岡県のトンネル工事が何よりも優先だといっている。優先するなら、そういう調査をしなければならない。中途半端にしたまま、工事をしたいと言っているのが現在の社長。この柔軟性のなさには呆れているところがある。

滝澤;知事は4選を決めたときに水問題解決の道筋をつけると言っていたが、残り2年半の任期で、その道筋はつきそうか。

川勝;例えば、ウクライナがロシアに侵攻されたが、どういう風に決着するか見越さなければならない。いかにして戦争をやめるか、その日から考えなければならない。水問題は大事な問題だから、どうしたら解決できるか、私なりに腹案があったが、私は決定権を持っていないので決めることができない。決定権はJR東海にあるわけで、私自身はどうすればリニアと南アルプスの自然環境、命の水資源を守ることができるかという案は持ったうえでやっている。

滝澤;知事は現時点では、どこをゴールにすべきだと考えているか。

川勝;JR東海の社長がこの間、静岡県庁へ来たとき、何と言ったかというと『もう4年以上やっているんですよ』と。任期が来たようなことを言っていたので、静岡県を悪者にするという最後の花道を作るつもりかと思った。それくらい筋は一貫している。2027年の開業を邪魔しているのは、すべて静岡県だと。どういう場面でも言い続けている。解決しなくてはいけないが、営業主体はもっと真摯でなければならないと思う。

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