2022年シーズンは「序盤に現実を直視しなければならなかった」とハミルトン。F1未勝利に終わるもチームの努力に感謝

 メルセデスのルイス・ハミルトンは、2022年シーズンは2007年のF1デビュー以来最も不振なシーズンを送ったものの、F1を去る準備はまだできていないという。

 ハミルトンは少なくとも1回のポールポジションとレース優勝をどのシーズンでも獲得してきたが、その記録は2022年で途切れてしまった。メルセデスは2022年のシャシーの問題を克服するのに苦戦していたのだ。つまり、ハミルトンは2021年に信じられないような接戦の末にマックス・フェルスタッペンに敗北し、わずかのところで8度目の戴冠を逃した1年後に、チームメイトのジョージ・ラッセルよりも順位を落としランキング6位となってしまったということだ。

 しかし37歳のハミルトンは、このせいでF1への情熱が削がれることはないと主張している。実際、新たにタイトルを目指して高みに登ろうという決意を再燃させている。

「世界チャンピオンとして引退するのは、どのアスリートも持っている夢だと思うし、僕もそうなんだ」とハミルトンはクリスマス前に行われたドイツの『BILD』のインタビューで語った。

「トップに立って、そこに留まることがどれほど難しいことか僕にはわかっている。僕たちはトップに戻りたい」

「昨シーズン(2022年)も世界タイトルを争いたかったのは言うまでもないが、僕たちはシーズン序盤に現実を直視しなければならなかった。それでも、実際には勝利ではないけれど、そのように感じられる結果を出した時もあった」

「達成したことにさらに感謝するようになった。ブラジルでのレースで、ジョージ・ラッセルが優勝して僕が2位になった時、チームの努力を心の底からありがたく思った。以前は勝利数がとても多かったから、少し空虚な感じだった。僕たちは優勝したが、それは予想されていたことだった。実際それは素晴らしいことなのに、奇妙なことだよね。だから、小さなことについてどれほど喜べるかということを経験したのは本当によかった」

2022年F1第21戦ブラジルGP メルセデスのジョージ・ラッセルが優勝、ルイス・ハミルトンが2位

 シーズン前半は不振に陥ったものの、ハミルトンはその後のシーズンでチームが達成した改善に後押しされていった。

「チーム全体が以前にもまして素晴らしい共同作業を行った。僕にとってこの年は期待はずれなんかではない」

「僕がやる気を失っていないことは間違いない。優勝できなかったシーズンが以前もあったのは確かだよ。それは2001年のカートでのことだった」

「素晴らしい希望が与えられたのは、このシーズンの終わりのことだ。最後の数戦では明らかにポジティブな傾向が見られたし、忍耐があれば何でも達成できることが証明された」

「僕たちは5位を争っていて、誰もが興奮していた。その後は4位争いになって、皆が大喜びしていた。4位や5位でとても満足できたのはいい経験だった。前に進むために戦って、1位や2位や3位になった気分だった。僕たちはもうすぐのところまで来ている。僕たち全員が必要としていたことだ」

 しかしハミルトンは控えめに言っても、W13のシャシーとは、幾分神経をすり減らす関係が続いたと認めた。

「言い換えれば、このような関係では、話し合うことも役に立つ。シーズンが進むにつれて僕たちは違いの理解を深めていった」

2022年F1第20戦メキシコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 メルセデスが2023年にレッドブルやフェラーリとのタイトル争いに戻るために、十分に盛り返すことができるかどうかはまだわからない。しかしもしタイトル争いに戻れるのならば、ハミルトンは2023年末で終了する現契約を延長する必要があるだろう。

「それについてはまだ始めていない」と契約交渉について尋ねられたハミルトンは答えた。「ここのところ時間がなかった。2カ月も(レースのために)移動していたからね」

「目を覚まして、こんなことはもうしたくないと感じる時がある。目を覚まして、一生をかけて他のこともできる、と考える時もある。僕が達成したいことはもっとあるんだ。すごく長くはならないけれど、でも間違いなく僕はまだ留まるよ」

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