ペテランセル、サインツが揃ってクラッシュ。アル-アティヤ独走、トヨタがトップ4独占/ダカールラリー6日目

 1月6日、W2RC世界ラリーレイド選手権第1戦『第45回ダカールラリー2023』のステージ6が行われ、ディフェンディングチャンピオンであるナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)が2日続けてのステージウインを飾った。

“砂漠の王”ことアル-アティヤが通算47回目のステージ優勝を飾った6日(金)は、当初の予定からルートが変更された。これはハイルの次のビバーク地とされていたアル・ドゥワディミでのサービス設営が大雨の影響で困難になったためだ。

 このためラリー主催者はステージ6の競技区間を100kmカットしSS終了後はサウジアラビアの首都リヤドに向かう新ルートを提示した。これにより同ステージはSS距離が358kmに短縮された一方、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は今大会最長の917.74kmに上っている。

■総合2~4番手が相次いで脱落

 そんな競技6日目は、総合首位を走るアル-アティヤがステージ残り40km地点でステアリングポンプの故障に見舞われながらもGRダカールハイラックスT1+をフィニッシュ地点まで運び、前日のステージ5に続く連勝で今大会3度目のステージウインを達成した。

 一方、そのアル-アティヤと競り合っていたステファン・ペテランセル(チーム・アウディスポーツ)は212km地点の砂丘でクラッシュを喫してしまう。この事故の影響でコドライバーのエドゥアール・ブーランジェが負傷。腰に痛みを訴え病院に搬送されている。総合2番手につけていた“ミスターダカール”はリタイアこそ免れたものの、上位争いから脱落することとなった。

 ペテランセルが捕まった砂丘では、チームメイトで総合4番手につけていたカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)もクラッシュを喫し、アウディRS Q e-tron E2の修復作業のためにサポートトラックの到着を待つことに。そのため、こちらも大きく順位を落としている。

 また、同じセクターでは総合3番手のヤジード・アル・ラジ(オーバードライブ・レーシング)も立ち往生し4時間以上遅れてビバークに到着することとなった。この結果、ラリーの折り返しを前に早くもアル-アティヤが独走状態に入っている。

 新たな総合2番手には、ステージ6でセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)に次ぐ3番手タイムを記録したヘンク・ラテガン(TOYOTA GAZOO Racing)が入り、ダカールルーキのルーカス・モラエス(オーバードライブ・レーシング)が総合3番手に続いた。トップとのギャップはいずれも1時間以上ありラテガンが1時間06分50秒差、モラエスはさらに約7分遅れている。

 総合4番手はジニエル・ド・ヴィリエール(TOYOTA GAZOO Racing)、同5番手にマティアス・エクストローム(チーム・アウディスポーツ)が続くトップ5オーダーとなっている。前日にクラッシュを喫したローブは総合6番手だ。

フィニッシュまで40km地点でステアリングポンプが壊れたが、そのまま首位でステージを走破したナッサー・アル-アティヤ(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023
ステージ6でクラッシュを喫したカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2) ダカールラリー2023

■ハスクバーナ勢が1-2達成。7日目は二輪に限りステージキャンセル

 二輪部門はステージ4、ステージ5とホンダ勢が速さを見せていたが、この日はハスクバーナ・ファクトリー・レーシングのルチアーノ・ベナビデスとスカイラー・ハウズがワン・ツー・フィニッシュを達成。総合2番手につけているトビー・プライス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)が3番手で続いた。

 部門総合首位はハウズで、プライスとのギャップは3分31秒に拡がっている。総合3番手のケビン・ベナビデス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)とトップとの差は7分01秒だ。

 日本勢のチームランドクルーザーは、新型ランドクルーザー・GRスポーツを駆るロナルド・バソが120番手/総合104番手、同じく新型ランクルをドライブする三浦昂は102番手/総合129番手で競技6日目を終えた。トラック部門に日野600ハイブリッドで参戦している菅原照仁(日野チーム・スガワラ)は、水温上昇に見舞われながらも競技6日目のロングステージをクリア。クラス17番手タイムでフィニッシュし部門総合14番手となっている。

 1月7日(土)のステージ7はライダーの疲労を考慮してバイクレースは行われず、残りの車列はリヤドからアル・ドゥワディミのビバークに向かう。なお、同地はチームメカニック不在のマラソンビバークとなるがSS終了後にはサービスが設けられおり、そこで車両整備を受けることが可能だ。ステージ7の競技区間は333km、リエゾンを含めた1日の総走行距離は861kmとなっている。

自身初のステージ優勝を飾ったルチアーノ・ベナビデス(ハスクバーナ450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
二輪部門の総合2番手につけているトビー・プライス(KTM 450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
僚友ステファン・ペテランセルがクラッシュしたのと同じポイントでアクシデントに見舞われたカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2) ダカールラリー2023
左フロントのタイヤがもげてしまったカルロス・サインツのアウディRS Q e-tron E2 ダカールラリー2023
総合3番手につけていたヤジード・アル・ラジ(GRダカールハイラックスT1+)も、ステージ6のフィニッシュが4時間以上遅れたため総合35番手まで後退してしまう ダカールラリー2023
総合2番手に浮上したヘンク・ラテガン(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023
アル-アティヤに次ぐステージ2番手となったセバスチャン・ローブ(BRXハンターT1+) ダカールラリー2023
TGRの3台に挟まれるかたちで総合3番手となったダカールルーキーのルーカス・モラエス(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023

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