若者 芸術触れる場に 「アートスタジオよしだ」開業

串間市奈留に「アートスタジオよしだ」をオープンした吉田礼子さん

 串間市奈留に、若者が芸術に触れる場「アートスタジオよしだ」がオープンした。同所の吉田礼子さん(73)が共に趣味で絵を描いていた亡き夫の思いを形にしたいと、絵画愛好家らの協力を得て実現。作品の展示や絵の教室などが行える場所で、「亡くなった夫も喜んでくれると思う」と感慨深げだった。
 吉田さんの夫・故修さんは50歳から独学で油絵を始め、宮日美術展の奨励賞を受賞するなど活躍。衣料品店を営んでいた建物を改装して自身の作品を展示したいと願っていたが、病気で2012年に他界したためかなわなかった。夫と共に絵を描いてきた吉田さんはその思いを形にできないかと考える中、同市の絵画愛好家らの団体「K企画」の協力をもらい、昨年11月に開業に至った。
 スタジオ内には修さんの描いた町並みや自然などの油絵約10点が並び、国道沿いの外壁は吉田さんの孫が描いた魚の絵が彩り目を引いている。市内では絵画を学ぶ場が限られることから、今月からは同所で市内の芸術経験者らを招き、子どもや初心者向けに油絵や水彩画、鉛筆画の教室も開催する。
 吉田さんは「皆さんのおかげでスタジオができた。多くの人が芸術に触れるきっかけになれば」と話していた。

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